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“繋がりすぎる”ネット時代の誹謗中傷問題、解決策はあるのかotsuneの「燃える前に水をかぶれ」(3/5 ページ)

» 2020年06月11日 09時00分 公開

SNSサービス運営会社の姿勢

 ネットの歴史的にはSNSなどのユーザー投稿型サービスは健全性や正確さよりも、混沌として曖昧なグレーゾーンすれすれな運営方針のほうが結果的に企業成長につながっていました。ただ、例えば医療機関従事者であることを証明しなければ加入できないという審査ルールがある職業特化型専門SNSは例外的に存在します。しかしあくまでも限られた人たちが対象であるのでメジャーな存在ではありません。

 質問サイト、個人売買・オークションやブログサービスのコメント欄やネット通販サイトの悪質レビューなど荒れやすいWebサービスもいくつかあります。

 それら運営企業は実はAI技術を活用して違反投稿を検知したり、スタッフの目視確認を使ってかなりの削除しているという話があります。ただ、一般のユーザー視点ではあまり表に出てこない作業なので認知されていません。仮に1万個以上の違反投稿をちゃんと削除していたとしても、たった1個の削除漏れがネット炎上したら、そのWebサービスの運営姿勢は「ちゃんと削除もしていない会社」という印象につながります。

photo SNS運営事業者らによる共同声明

注目さえ集められれば

 そもそもメディアやSNSや広告ビジネスではワイドショー的な記事や、単純で分かりやすい扇情的な情報が出回りやすい構造になっています。

 さらにネットメディアは基本的にPV(ページビュー)、MAU(月当たりのアクティブユーザー数)で成果が計測されるため、内容の質やコアマニア層の評価とは無関係に、悪趣味行為・悪評・ホラ・フェイクで注目を集めることがブランド認知や収益につながるシステムがあり、メディアスクラムやヘイト投稿をエスカレートさせやすい力学が働いています。

 いわゆる「マイナスの知名度・PV」という状態はほぼないので、たとえツッコミどころが満載であっても注目さえ集めればそれで構わないという風潮になりやすいのです。

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