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NEC、量子コンピュータのD-Waveと協業 約10億円投資

» 2020年06月18日 12時10分 公開
[井上輝一ITmedia]

 NECは6月18日、量子コンピュータを製造するD-Wave Systems(カナダ)と協業し、同社へ約10億円の投資を行うと発表した。

D-Wave Systemsの量子コンピュータ「D-Wave 2000Q」

 D-Wave Systemsは、「量子アニーリング」といわれる方式の量子コンピュータを世界で初めて製造した企業。米Googleや米航空宇宙局、米ロスアラモス国立研究所などが同社製の量子コンピュータを導入している。

 NECは、東京工業大学や早稲田大学、横浜国立大学、産業技術総合研究所などと共に、2023年の実用化を目指して量子アニーリング方式の国産マシンを開発中。また、量子アニーリングのシミュレーション環境として、並列処理に特化した同社の「ベクトルプロセッサ」向けアルゴリズムも用意している。グラフィックスカードのような1枚のボード上で大きなサイズ(10万変数)の問題を解けるのが強み。

NECの量子コンピュータのモックベクトルプロセッサ NECが開発中の量子アニーリング方式の量子コンピュータ(左)と、量子アニーリングをシミュレーションできる「ベクトルプロセッサ」(右)

 2社の協業では、D-Wave Systemsの量子アニーリングマシンとNECのスーパーコンピュータなどのコンピューティング技術を組み合わせたハイブリッド技術で、より大規模な組合せ最適化問題を高速に解くことを目指す。開発したアプリケーションはD-Wave Systemsの量子クラウドサービスに組み入れて提供する。

 流通や材料科学、AIなどの分野で実用できる量子アプリケーションも2社で模索する。共に日本市場開拓のためにマーケティングを行っていくとしている。

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