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テレワークの“朝”は自動化できるか? 「スマート全自動コーヒーメーカー」を試す(2/2 ページ)

» 2020年06月24日 10時00分 公開
[石井徹ITmedia]
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 例えばドアや窓の開閉を検知するスマートセンサーと連携させれば、「午前6時〜8時に、ダイニングのドアを開けた瞬間にコーヒーの抽出を開始する」といった設定が可能です。朝の忙しい時間に、余計な挙動を極力減らして、ひき立てのおいしいコーヒーを味わえます。

ドアの開閉を検知する+Styleの「スマートセンサー(ドア・窓)」
他のスマートデバイスと組み合わせたルーティン化も可能。タスク設定では「抽出スタート」のみを設定可能です(起動したら水を落としきるまで止まりません)

 記事冒頭でも触れましたが、昨今のコロナ禍で在宅勤務に移行した人の中には、毎朝のコンビニコーヒーが欠かせなかったという人もいることでしょう。そうしたコーヒー派にとって、家の中でも手軽にひき立てコーヒーが味わえるスマート全自動コーヒーメーカーがあれば、朝の活力の源となるはずです。

もう一工夫ほしかったという点も

 使い方次第では十分に価値を発揮してくれそうなスマート全自動コーヒーメーカーですが、+Styleとして初のキッチン家電製品ということもあり、試用していて「かゆいところに手が届かない」と感じたシーンもありました。

 1つは、「豆や水を計量する機能がないこと」です。抽出杯数の設定はありますが、これは杯数に応じて豆のひき方を設定する機能で、水や豆を計量する機能ではありません。機器内部にはコーヒー豆をストックしておけるタンクはなく、水も入れただけコーヒーの抽出に使われるため、入れすぎてしまうと薄いコーヒーになってしまいかねません。

杯数設定にかかわらず、水も豆も入れた分だけコーヒーになります

 このため、抽出前に豆や水を量って投入する手間はどうしても発生します。タイマー設定やIoT連携などで朝にコーヒーを抽出するようにしておいても、豆は翌日飲む分だけ投入しておく必要があります(忙しい朝にこなすべき手間を前夜のうちに済ませておけるという点では意味はあるとは思いますが……)。

 また、これは他のコーヒーメーカーの多くでも共通することとは思いますが、「抽出ユニットを洗う手間」も地味に面倒です。フィルターとミルが組み合わさった抽出ユニットと、コーヒーを貯めるポットは取り外して丸洗いができるようになっています。ただ、ミルのブレードの下にコーヒーの粉がたまり、これを洗い落とすのが地味に面倒です。仕組み上仕方がない部分ではありますが、毎回洗う必要がある点も踏まえると、もう少し手間をかからずコーヒーかすを落とせる設計にしてほしかったと思うところです。

豆に触れる部分は全て丸洗いできますが、洗うこと自体が手間になりがち

 保温機能が30分までしか動作しないのも使い方によっては不便かもしれません。ポットに入ったコーヒーを保温しつづけておくと味がどんどん劣化していくため、できれば保温しないのがベターですし、「ひき立てを飲める」という機器の趣旨からも外れますが、まとめて入れておいて在宅勤務中に適宜飲みたい場合には、もう少し長時間保温できた方が明らかに便利です。

 また、IoT機能の設定について少し不便な点も。+Styleアプリの設定では「1日1回まで」といった条件指定ができないため、スマート全自動コーヒーメーカーでは、指定された条件(例:指定時間の間にドアが開いたときに抽出開始する)を満たせば何度でも動作してしまいます。その際「豆がセットされていないから動作しない」という条件指定もできないため、条件を満たすとコーヒーミルのブレードは動作してしまいます。ただし、水が入っていなかったら動作しないようなので、IoT連携を使う際には水の有無に気を付ける必要がありそうです。

細かな不満点はあるものの「ひき立ての味」を安定して抽出する便利さには代えがたいものがあります

 改善を望みたい点はいくつかあるものの、このマシンは、ひき立ての豆をすぐひく、90度前後のお湯で少しずつ抽出するといった「おいしいコーヒーのセオリー」を確実に守って抽出してくれます。朝の忙しい時間においしいコーヒーが飲めることを考えれば、1万円前後の投資と丸洗いの手間は苦にならないでしょう。「おいしいコーヒーをたくさん飲みたい派」にはオススメできる1台です。

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