前回は、3Dキャラクター生成ソフトの「Character Creator」と写真1枚から顔と髪形の造形ができるプラグイン「HeadShot」を使って、写真しか遺されていない人を3D化して、光造形3Dプリンタでフィギュアにするところまでやってみた。
その後、リトライしながら妻のフィギュアを合計6体製作することに成功した。製作を重ねるにつれ、造形のおかしい部分がかなり減少していた。セットアップからわずか1週間でここまで到達できるとは予想していなかった。だが当面の目的を果たしてしまうと、せっかく始めた連載が早々に終わってしまう(それはそれでいいのだが)。
一方、フィギュアを手にしたことで、さらにチャレンジしたいことも出てきた。
このうち、(2)と(4)は自分のスキルを向上させればいいだけの話だ。
まずは(2)。HeadShotで生成した人体モデルは、業界標準の.objや.fbjフォーマットでエクスポートできる。これを他のアプリで編集し、一部だけを書き出すことができれば、ELEGOO MARSの狭い領域に収まるサイズで、大きくプリントできる。
これに関しては、米Autodeskの3DCADソフト「Fusion 360」を使い、ブーリアン演算することで一部を切り出すことができそうなので、現在勉強中。Fusion 360はパーソナルな利用ならば無料で使えるそうなので、しばらくはこれで試そうと思う。メカニカルな設計をするわけではないが、将来的に必要になることがあるかもしれないので、こうしたスキルを身につけておくに越したことはない。
(4)は、ガレージキットやプラモデルの彩色をしている人たちのYouTube動画を見るなどして情報収集中だ。ペンを使った細かい作業は老眼にはきついだろうが、ここを他人に任せたくはない気持ちもある。なにせ時間は死ぬまであるので、ゆったり構えて学んでいこうと思う。
この2つ以外も、ある程度方向が見えている。
まず、(1)のプリントサイズ問題。今はできる範囲でやっているのでそれほど不満はないし、これ以上大きくするとプリントの不安定さが増しそうで怖くもある。ただ、低価格帯での光造形方式で、さらに精度が上がり、ひとまわり大きなサイズをプリントできる新製品が登場しているので、そこは期待できそうだ。ELEGOOであればSATURNという上位モデルが既に販売されている。価格は高めだが、国内販売も予定されている。
SATURNはその名の通り、より大きなサイズをプリントできる。モノクロの4K液晶パネルを介して紫外線を照射するため、従来のカラー液晶よりも照射効率がよく、その分高速にプリントできる。さらに、従来は2K解像度だったのが4Kになることで、解像度も向上。さらに、パネルサイズも大きくなっているのでプリントサイズ(XY方向)も大きくなる。192×120×200mmと、ちょっと小さめのFDM(熱溶解)プリンタくらいの領域を立体化できる。これが米国での価格が400ドル。国内代理店では8万円以上の価格がついているが、サポートなどを考えると検討には値するだろう。このパネルが出回ることでライバルメーカーも同等スペックの低価格機を投入してくるはずなので、2020年後半はさらにSLA(光造形)モデルの魅力が増していきそうだ。
(3)でさまざまな素材を試してみたいと書いたが、現在のレジンに特に不満があるわけではない。ただ、FDMの人たちがフィラメントの素材をめぐって試行錯誤しているのをみると、ちょっとうらやましく思ったのだ。PLA、ABS、PETG、TPU、さらに木材チップ入りPLA……。
FDMならばプリントサイズの問題も素材も解決できそうだし、ひとつ検討してみるか。
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