いろいろなパーツを組み合わせて自分好みの1台を作る「自作キーボード」について紹介する本連載。前回は「キー配列」という自作キーボードならではのカスタマイズ要素について紹介した。
今回は、マニアなら誰もが知っているが一般的にはまだまだ認知度が低い、自作キーボードキットを選ぶ上での判断材料にもなる重要パーツである「ケース」について紹介しよう。
自作キーボード「Ergo42」作者。自作キーボードのDiscordコミュニティ「Self-Made Keyboards in Japan」管理人。
自作キーボードの作者であり、キーボード関連のニュース動画「ほぼ週刊キーボードニュース」を配信するぺかそとびあっこが、自作キーボードの世界の“入り口”を紹介していく。
本来、キーボードにケースが付属するのは、キーボードの回路やスイッチを守り、机などへの設置を安定させるためだ。そんなケースに、自作キーボードにおいてどのような価値があり、自作キーボードキットの価格とどういった関係にあるのかをひもといていく。
早速ではあるが、実例として似たようなサイズ感で、ケースの構造や材質の異なる2つの自作キーボードキットとその価格を見てほしい。
「Choco60」は自作キーボードでは標準的な60%キーボードで、左右分離型としても、一体型のようにくっつけても使えるのが特徴。キーボード基板をアクリル板とネジ・ナットで挟み込む「アクリルサンドイッチ」系のケースを採用している。価格は1万4000円(税別、以下同様)だ。
「Polaris」はChoco60と同じく60%キーボードだが、左右分離型ではなく一体型だ。アルミを削り出して加工したケースに真ちゅう製の重りがついた「金属削り出し」系の構造で、こちらの価格は約2万9000円とChoco60のおよそ2倍になる。
紹介した2つのキットはいずれも似たようなサイズのキーボードで配列も似ているが、どうしてこれほどの価格差があるのか。最初に断っておくと、いずれのキットも評価は良く、単純に価格差が自作キーボードキットの優劣を示しているわけではない。実際のところ、キットの価格差はほとんどケースの設計や製造コストの差だといえる。
自作キーボードキットのほとんどは、ケース、基板、マウントプレート、その他電子部品や組み立てに必要なネジなどで構成されている(キースイッチ、キーキャップは含まれない)。これらの中で一番コストがかかっているのは実はケースで、キットの製造原価のかなりの部分がケースの製造コストだ。そのため、キットの価格はそのキーボードの設計費用とケースの価格でほぼ決まってくるといって過言ではない。
機能上それほど重要そうには見えないケースに、自作キーボードキットの価格が大きく左右されることに面食らった人もいるかもしれない。このような価格差を見たときに当然浮かぶであろう「結局安いのと高いのはどちらがいいのか」「なぜこれだけ価格差があっても買う人間がいるのか」といった疑問に答えながら、自作キーボードのケースについて掘り下げていきたい。
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