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新薬開発の書類をAIで 7割時短 NTTデータが来春提供へ

» 2020年09月09日 20時45分 公開
[ITmedia]

 NTTデータがAIを活用し、新薬の有効性を調べる治験の資料作成を自動化しようと、今年1月から6月にかけて中外製薬と共同で実施した実証実験の結果を公表した。実験の結果、臨床患者への同意を求める「同意説明文書」で平均61%、患者の検査データや、副作用などの情報をまとめた「症例報告書」で平均40%、それぞれ書類作成にかかる時間が短縮されたという。

 実験では、過去の膨大な資料をAIに読み込ませ、資料のパターンを学習。治験内容を記した「治験実施計画書」から、AIが関連資料をどれだけ自動作成できるか検証した。「使用する薬剤によって文中の専門用語の変換精度に課題があり、完全自動化は難しいものの、人が文書ソフトで作成するよりも最大で7割の時短につながった」という。

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 治験では国内未承認の新薬を使うため、実施主体の製薬企業には大量の資料作成が必要となる。治験の方針をまとめた実施計画書は100ページ以上に及び、関連書類を合わせると総ページ数は数百ページ以上にもなることから、書類作成の時間短縮による業務効率化が業界全体の課題となっていた。

 NTTデータは今後、実証実験での課題を抽出し、来春の商品化を目指す方針。

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