行政がこうした見解を述べる中で、誤った使用法が広がっている背景には、ECサイトの商品画像も影響している可能性がある。Amazon.co.jpや楽天市場などの大手ECサイトには、フェースシールドやマウスシールドが出品されている。その一部では、マスク未着用のままシールドを装着しているイメージ画像を使っている。マスクと併用している商品もあるが、ECサイト側に明確な規定はなく、画像の内容はメーカー側に一任しているとみられる。
神戸市は、フェースシールドやマウスシールド単体での使用が広がっている背景について「(ECサイトも)要因の一つとして可能性がある」としたが、「だからといってサイト側に指導することはできない。市としてはあくまでお願いベースになる」と話した。
厚労省は、ECサイトへの指導などについて「準備はしていないが、要望や意見、状況を踏まえながら対応したい」と述べた。現時点で動かない理由は、特定の事業者だけに介入し、公正性が損なわれることを避けるためだという。仮に対応する場合は、厚労省は薬品に対する指導権限しかないため、所管の消費者庁や経産省との連携が必要になるという。
昨今は、地域によっては新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き始めた。政府の「新しい生活様式」の一環で、飲食店で「フェースシールド飲み会」を試そうとする人も出てきている。商業施設の警備員がマウスシールドだけを着け、マスクなしで働く姿を見かけることもある。だが、感染が再拡大する可能性もあることから、国はフェースシールド、マウスシールドの適切な使用法を公式見解として示す必要がありそうだ。
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