一方のドコモとしての直近の戦略については、「低廉で使いやすいサービスを実現する」と吉澤社長は話す。ただし、その方針は今回の完全子会社化によって定まったものではないとしている。澤田社長は「値下げと完全子会社化は独立した事象だが、完全子会社化により財務基盤が整い、結果として値下げが可能になる部分はある」とする。
吉澤社長は「今回の件を通じてサービスやネットワークを強化する。その結果として低廉で使いやすいサービスを実現していきたいという思いは当然ある。顧客にしっかり還元しつつ、企業価値を継続的に向上していきたい」と話した。
吉澤氏は今回の完全子会社化を機に社長職を退く。後任には20年12月1日付で現副社長の井伊基之氏が就く。
井伊副社長は「新しいドコモを創業するつもりで挑む」として、新体制のドコモで行う施策として以下の5つを挙げる。
この中でも優先すべきこととして、井伊副社長は4番の「信頼回復」を挙げる。「今ドコモ口座の件でご迷惑やご心配をおかけしている。信頼の回復や補償をしっかりやり、再発を防止するためにあらゆる手段を講じていきたい」とした。
2番の「あらゆる年代から支持されるサービスと価格」について、記者から「(KDDIにおけるUQ mobileやソフトバンクにおけるワイモバイルといった)サブブランドを作る計画はあるか」という質問が出た。これに対し井伊副社長は「何もまだ検討していないのが正直なところ。どういった戦略が2番の目的を達成できるかは考慮しないといけない」としつつ、「ただ後追いしてもそれが客の望む姿か。重要な戦略なのでしっかり考えたい」として、サブブランドの展開には含みを持たせた。
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