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「失われた20年」を巻き返す──ドコモ完全子会社化でNTTが目指すもの(2/3 ページ)

» 2020年09月29日 20時00分 公開
[井上輝一ITmedia]

 このタイミングで完全子会社化を決めた理由に、澤田社長は「市場環境としてドコモが3番手に落ちている他、GAFAの台頭が危機感にあった」と話す。

 ドコモの吉澤和弘社長は「5G時代は単に5Gのモバイルネットワークを提供すればいいというものではない」として、5Gを使ったソリューションまでを含めて提供していかなければならないとする。

NTTドコモ吉澤和弘社長

 「2000年前後はまだ固定のインターネットとPCの時代だったが、2010年になってスマホが普及しモバイルインターネットが中心になった。そこに今のGAFAが出てきた」と吉澤社長。5G時代には通信インフラだけでなく、その上のレイヤーまで含めた包括的なサービスを作っていかなければならないとした。

 澤田社長は「(バブル崩壊までは)NTTは世界でも10指に入る企業だったが、NTTを含め日本企業はそれ以降ほとんど伸びがない。移動回線を育てるにも、『固定(NTT)は移動(ドコモ)を助けるな』という議論があった。しかしいまや移動回線がメインで、その機材はほとんどが米中の製品」と、世界的にも日本の電気通信や情報通信産業が低迷しているという見方を示す。

 「5Gやその次の時代に日本が何をやるのかと考えると、われわれ(NTT)が作り上げていかなければいけないのではないか。ソリューションやサービス、その上位レイヤーに強みを持ち、コアには通信インフラがある。ドコモ完全子会社化により、『6G』(2030年めどの実現を目指し策定している次世代通信規格)や『IOWN構想』(光通信やコンピューティング技術を駆使して社会全体に高速なネットワーク基盤を敷く構想)で先頭に立つのは意味があると思っている」(澤田社長)

 新型コロナによる社会活動の変化も一因だったという。「リモート型の社会が今広がりを見せており、今やらないと環境に対応できない。タイミング的にもこの時期だった」(吉澤社長)

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