「AI革命の先駆者はユニコーンだけではない。本命中の本命は上場会社の中にある」──ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義社長は11月9日の決算説明会でこう話した。「次の10年間はAI革命への投資会社になる」との方針のもと、米Amazon.comや米Facebookといった上場企業への投資を進めているという。
これらの上場企業には、現物株とデリバティブで投資しているという。9月末時点での投資額は、現物株は約1兆8000億円、デリバティブは約4000億円。孫社長によれば「(現時点で)どのくらい買ったかはあと1週間ほどで開示する」という。
上場企業への投資はまだテスト段階で、取得する株式の割合は「せいぜい数%で十分。始めたばかりなので、これから様子を見ながら考える」(孫社長)。投資先の企業を買収する可能性については「買収をして自らコントロールしたいという思いはない」と否定した。
上場企業への投資は今後も継続して行う方針。専門のチームを組織して体制を強化し、孫社長自身も関わって進めていくという。
SBGが9日に発表した2021年3月期第2四半期累計(20年4〜9月)の連結業績は、売上高が2兆6305億円(前年同期比3.6%増)、純利益が1兆8832億円(同4.5倍)と増収増益だった。連結業績全体における投資の重要性が高まったとして、営業利益は公開していない。
eコマースやフードデリバリー事業を手掛ける投資先の公正価値が上昇し、10兆円規模のファンド「SoftBank Vision Fund」(SVF)を含むファンド事業の業績が回復。4月に完了した米Sprintと米T-Mobileの合併に伴い、T-Mobileの親会社である独Deutsche TelekomにSprintの株式を売却したことも増益の要因となった。
19年5月に立ち上げたSVFの第2弾も好調といい、孫社長は「もうSVFは終わった、などと言う人もたくさんいたが、実際はこれからが始まり」としている。
投資事業を除くセグメントの業績は、ソフトバンク事業の売上高が2兆4277億円(前年同期比2.3%増)、税引き前利益は5333億円(同2.9%増)だった。米NVIDIAへの売却を9月に発表した英Arm事業の売上高は1059億円(同19.7%増)、税引き前損益は248億円の赤字(前年同期は208億円の赤字)だった。
21年3月期通期(20年4月〜21年3月)の連結業績予想は「未確定な要素が多い」として公表していない。
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