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» 2020年11月19日 17時23分 公開

「Red Hat OpenShift Service on AWS」発表 AWS上でのフルマネージドサービス AWSとRed Hatが手を組む理由とは?

AWSとRed Hatが「Red Hat OpenShift Service on AWS」を発表。クラウドネイティブ基盤ソフトウェア「Red Hat OpenShift」を、AWS上でフルマネージドサービスとして提供する。両社はなぜ手を組むのか。

[新野淳一,ITmedia]

この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「AWSとRed Hatが「Red Hat OpenShift Service on AWS」発表。AWS上のフルマネージドサービスとして。なぜAWSとRed Hatは手を組んだか?」(2020年11月19日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。

 Amazon Web Services(AWS)とRed Hatはこのほど、AWS上のフルマネージドなサービスとして「Red Hat OpenShift Service on AWS」を発表しました(AWSの発表Red Hatの発表)。

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 Red Hat OpenShift Service on AWSは、DockerコンテナとKubernetesを中心としたRed Hatのクラウドネイティブ基盤ソフトウェアの「Red Hat OpenShift」(OpenShift)を、AWS上でフルマネージドサービスとして提供するもの。両社が共同でサポートするとしています。

 ユーザーはAWS上でOpenShiftを利用することに加え、オンプレミスやほかのクラウド上でOpenShiftを利用することによるハイブリッドクラウドやマルチクラウドの構築も容易になります。

AWSとRed Hatはなぜ手を組んだか?

 現在、DockerコンテナとKubernetesを組み合わせたクラウドネイティブ基盤ソフトウェア、もしくは広い意味でのKubernetesディストリビューションの提供は、大小さまざまな企業やオープンソースのプロジェクトによる取り組みが多数行われており、多くの選択肢があります。

 しかしかつてのLinuxディストリビューションやHadoopディストリビューションがそうであったように、数多く登場してきたクラウドネイティブな基盤ソフトウェアやKubernetesディストリビューションも、市場の競争にもまれて数が絞られてくるはずです。

 VMwareがPivotalを吸収してTanzuを展開しvSphereにKubernetesを統合したのも、SUSEがRancher Labsを買収したのも、MirantisがDocker社からKubernetes関連の製品群を買収したのも、これから大きな市場になるであるクラウドネイティブ基盤ソフトウェアで勝ち残って主導権を握ろうとしているからです。

 そうした中で今、Red HatとOpenShiftにとって、AWSというクラウド市場の巨人におけるマネージドサービスというポジションを得ることは、勝ち抜けに向けた大きな一歩であることは間違いありません。

 一方、AWSもKubernetesを起点とした新たな競争にさらされています。

 GoogleはAnthosで、MicrosoftはAzure Arcで、Kubernetesを用いたクラウド基盤の抽象化による、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドを実現しようとしています。AWSを抽象化することで隠蔽し、自社クラウドの拡張のように扱おうとしているわけです。

 しかしAWSは自社で本格的なハイブリッドクラウドやマルチクラウドのソリューションを提供していません。おそらく同社の戦略としては、AWS自身はAWSそのものを強化することに注力し、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドの実現は他社との協力によって実現しようとしているのでしょう。

 これまでVMwareとの戦略的提携による「VMware Cloud on AWS」がAWSにおけるハイブリッドクラウドとマルチクラウド実現のための主要なサービスでした。VMwareのレイヤで、ほかのクラウドやオンプレミスとの一貫性を実現していたわけです。

 今回これに、Red Hatとの提携による「Red Hat OpenShift Service on AWS」が加わることになります。

 VMwareもRed Hatも自社ではクラウドを持たないため、さまざまなクラウドに自社ソフトウェアを基盤として展開していくことに注力しています。

 実際、VMwareのクラウド基盤はGoogle CloudやMicrosoft Azure、Oracle Cloudなど多くのクラウドに「VMware Solution」として採用されています。Red Hatも2018年にMicrosoftと提携してAzure上でOpenShiftのマネージドサービスであるAzure OpenShiftの提供を発表済みですし、今後ほかのクラウドへの展開も当然あるでしょう。

 AWSにとって、Google CloudやMicrosoft Azureが提供するAnthosやAzure Arcが普及し、AWSが他社クラウドによって隠蔽されることがないように、VMware CloudやRed Hat OpenShiftを支援するというのは当然のなりゆきといえるでしょう。

 と同時に、VMwareただ1社ではなく2社目のハイブリッドクラウドおよびマルチクラウドのソリューションを得たことで、AWSはVMwareに対してこれまでよりも優位な立場に立てる、という計算もあるのかもしれません。

AWSの料金と統合など

 「Red Hat OpenShift Service on AWS」は従量課金制で、料金はAWSの利用料金に統合して請求されます。

 AWSの既存のサービスである仮想マシンやネットワーキング、ストレージ、データベース、機械学習などもRed Hat OpenShift Service on AWSから利用可能。

 今後、AWS Management Consoleからも運用しやすくするなどの機能統合も計画されています。

 Red Hat OpenShift Service on AWSは現在プレビューとして提供され、今後数カ月以内に正式リリースとなる予定です。

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