ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >
ニュース
» 2020年10月27日 13時11分 公開

IBMはなぜインフラサービス部門を分社化するのか? 日米のトップが語ったこと (1/2)

米IBMがインフラサービス部門を分社化し、2021年末までに新会社を設立すると発表。その理由と日本IBMの方針を、日米の両社長が説明した。

[濱口翔太郎,ITmedia]

 「新会社はIBMに限らず、どのクラウドベンダーともパートナーシップを結べる。これは私たちの将来にとって大きな転換点となる」。米IBMのジム・ホワイトハースト社長はこのほど開いた記者説明会でこう強調した。

 IBMは10月頭に、ITインフラの構築・運用を担う「グローバル・テクノロジー・サービス事業」(GTS)の一部を分社化し、2021年末までに新会社を設立すると発表。新会社はIBMの連結対象から外れ、ITインフラの構築・運用に特化したサービスを中立的な立場から提供する。社名は現時点では未定。

photo 米IBMのジム・ホワイトハースト社長と、日本IBMの山口明夫社長が、分社化の目的などを説明した

新会社はITインフラの運用に特化、収益力の強化目指す

 新会社が構築・運用を請け負うITインフラは、クラウド・オンプレミスともに提供元のベンダーを問わない。IBM Cloudやメインフレームだけでなく、他社のITインフラを組み合わせたハイブリッド/マルチクラウドにも対応し、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureなどの競合製品もカバーするとしている。

 ただし新会社は、IBMともパートナーシップを結び、IBMが提供しているITインフラの管理などを担うことは決まっている。IBMの既存顧客を維持しつつ、他社製品のユーザー企業を新たに獲得し、収益の拡大を目指す方針だ。

 ホワイトハースト社長は、分社化の背景について「顧客企業の中で、インフラを選ばないアプリケーションへのニーズや、オンプレミス環境のモダナイゼーション(構成の刷新)へのニーズが高まってきたからだ」と説明。

 「新会社は設立初日から市場のリーダーとなり、190億ドル(約2兆円)近くの年商が約束されている。高レベルのノウハウを生かし、世界の大手企業の複雑なインフラを管理・運用する。(予定では)4500社以上の顧客を抱え、中にはFortune 500の大多数が含まれる」と自信を見せた。

photo IBMによる分社化の発表(日本語版)

IBM本体の今後の方針とは

 一方のIBM本体には、ソフトウェアやハードウェアを提供する部門や、ソリューションやコンサルティングを提供する部門などが残る。米Red HatもIBM傘下のままとなる。

 IBMとRed Hatでは、コンテナ技術に対応したミドルウェア群「IBM Cloud Paks」、クラウド基盤向けのオープンソースソフトウェア「Red Hat OpenShift」などを引き続き提供。ユーザー企業のアプリケーションをコンテナ化し、ハイブリッドクラウド環境などで動かせるようにする製品やサービスに注力する。AIの「IBM Watson」を使ったソフトウェア開発も強化する。

 ホワイトハースト社長は、IBMの今後の展望について「価値の高いソフトウェアやソリューションを提供する会社になる。ポートフォリオの50%以上を経常収益(定期的に決まって得られる収益)が占めるようになる」とし、収益力の強化につながるとした。

 「分社化によって財務的にも自由度が生まれ、(IBMは)ハイブリッドクラウドやAIへの投資を強化することでイノベーションを加速できる。もっと自由に、かつ戦略的に将来のビジネスに向けての投資ができるようになる」(ホワイトハースト社長)

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.