ご存じの通り、Apple Silicon「M1」を搭載したMacが発売された。この連載の担当編集である松尾氏も早速入手されたそうで何よりである。現状のM1は、ある意味「拡張性を犠牲にして性能を優先した」構成であり、今後拡張性が求められるようになっていくと、いろいろ厳しいシーンも出てくるとは思うが、それをどう(CPUコアのアーキテクチャだけでなく、SoCのアーキテクチャも含めて)解決しながら性能を上げていくかが楽しみである。
さてこの連載の最後に、そういうApple Siliconの先にあるものを少し考察してみたい。結論からいえば、Appleは既にApple ISA(Instruction Set Architecture)の策定作業にかかっていると思う。それが世の中に登場するのはまだだいぶ先だと思うし、動向次第では世に出ずに終わる可能性も多少はあるが、そうした作業をやってないというのは、まずありえないと思う。以下、その理由を述べたい。
話はいきなり飛ぶが、昨今のプロセッサのマーケットでは「いかにヘテロジニアス環境をうまく動かすか」が焦点になってきている。Intelですら、という言い方もどうかとは思うが、もはやCPUだけでは十分な性能を確保できないと理解しているはずだ。それゆえ、Habana LabsとMovidiusを買収してAIの学習と推論に適したプロセッサを手に入れ、AMDからラジャ・コドゥリ氏を招いて新しいXeファミリーのGPUを開発し、Alteraを買収してFPGAを手に入れ、そしてこれらを横断的に扱えるようにするための環境としてoneAPIやOpenVINOといったAPIを提供しようとしている。
これは別にIntelだけではない。AMDは強力なGPUを持っているし、QualcommやMediaTekといったモバイルSoCベンダーもCPUだけでなくGPUやNPUなど複数種類のプロセッサを組み合わせるようになっている。これはAppleも同じことだ。
M1にしても
の組み合わせになっているのが分かる。
ここでProcessorとAcceleratorの違いは、自分で処理を実行できるか、外から制御が必要かである(Acceleratorは、CPUから実行開始のリクエストを受けて処理を行い、終わると待機状態に戻る。Processorは自分でプログラムを読み込んでどんどん実行できる)。
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