Alibaba Groupは今回のセールにおいてアーキテクチャを工夫しただけでなく、AIなども活用し、出店者を支援するサービスを充実させた。
奥山氏が挙げた具体例は2つ。1つ目の「バーチャルキャスターサービス」は、ECサイト上にアニメキャラのようなアバターを登場させ、商品を紹介してもらうというもの。アバターは視聴者から商品に関する質問を受けると、その内容を認識し、文字によるチャットや音声で適切な答えを返すことができる。
2つ目は、AIによるライブストリーミングの自動翻訳だ。今回のセールでは、出店者が商品を紹介するライブストリーミングを行い、その内容をAIにリアルタイムで解析・翻訳させ、字幕として表示した。出店者が中国語で商品説明をしていても、ユーザーの希望する言語で字幕を表示できる。言語の壁をなくし、海外ユーザーの利用を促進できるメリットがあり、「出店者の70%がこのサービスを活用した」(奥山氏)という。
Alibaba Groupは今回のセールで、クラウド・AIに加え、ロボットを使って商品を配送する取り組みも実施。中国の杭州市にある浙江大学のキャンパス内での限定的な運用だが、クラウド/エッジの両方でAIに対応した配送ロボットを導入した。
具体的には、ロボットがクラウド上のAIが算出した最適経路を受信しつつ、搭載するエッジAIで障害物や歩行者などを回避しながら商品を配送した。このロボットは1回の充電でおよそ100km走行し、1日当たり500個以上の荷物を届けることができるという。
奥山氏は「この配送ロボットを導入したことによって、今回のセールで配送時間の短縮と配送コストの削減を実現できた」と強調した。
Alibaba Groupは今後、ライブストリーミングで使用した自動翻訳などのAI技術をマネージドサービスとして提供するなど、セールを支えた技術を早くも外販する計画だ。独身の日の大規模セールを裏で支える同社のテクノロジーは、今後どんな進化を遂げるのか。売り上げだけでなく技術的な観点からも、早くも来年のセールが楽しみだ。
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