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コンピュータ不要でレーザー光線に触って遊べるディスプレイ 香港城市大学が開発Innovative Tech

» 2020年12月02日 13時23分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 香港城市大学の研究チームが開発した「Interactive Minimal Latency Laser Graphics Pipeline」は、投影したレーザー光線にタッチして遊べるディスプレイシステムだ。外部カメラやコンピュータ通信を必要とせずに双方向のレーザーグラフィックスを可能にする。

photo 動くレーザーグラフィックスに触れて止めている様子
photo 動いているレーザーグラフィックスとのインタラクションをレイテンシ4msで行える

 レーザーグラフィックスとは、投影面にレーザー光線を照射し高速でスキャンすることで文字やイラスト、アニメーションなどを描写する映像表現の一種。一定方向に真っすぐ突き進むというレーザー光線の性質上、ある程度の平面が確保できればどこでも描画でき、表面の計装やキャリブレーションが不要なのが特徴だ。

 プロトタイプハードウェアの「Laser Graphics Processing Unit」(LGPU)は、レーザー光線の表示とスキャンを同時に行うため、最小限のセットアップでレーザーグラフィックスの描画ができる。

photo プロトタイプハードウェア
photo システムのパイプライン

 LGPUには、Interaction Shaderというコンポーネントが備わっており、後方散乱光の強度を測定する光検出器からのデータに反応し、強度の変化を捉える。この強度の違いを基に、レーザーグラフィックスの形状と色を低レイテンシで更新し、LGPUと人がインタラクティブに操作することが可能となる。これらはLGPU上で行われるため、コンピュータや外部システムからのコマンドや制御を必要としない。

 これによりレーザー光線をタッチすることで、跳ね返す、色を変える、回転させるなどの操作が行える。実験では、不規則な表面での動作、4msの応答時間と15m以上の範囲での動作が可能だった。

photo 矢印に触れると点滅し強調される
photo レーザーグラフィックスは線で数字や文字も描写できる
photo タッチすると消えて別の場所が描写される反射神経ゲームをしている様子

 

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