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コロナ禍、M1 Mac──2020年、自分の仕事環境がどう変化したのか振り返り、2021年を予測してみる(3/3 ページ)

» 2020年12月03日 07時00分 公開
[西田宗千佳ITmedia]
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M1版Macは文字入力も速かった

 さらに驚いたのは、ベンチマーク的な意味でのピークパフォーマンスでなく、一般的な反応がすごく速いことだ。

 スリープからの復帰やアプリ起動も速いが、何より、文字入力のレイテンシが低い。多忙だったのでまだ完全な計測ができてない。ある種の速報値として考えていただきたい。

 タイプから表示までのレイテンシは、iPad Proが「240分の22秒(約0.09秒)」、Intel版Macが同じく「240分の22秒」(OS標準)もしくは「240分の20秒(約0.08秒)」(ATOK)だった。

 それに対し、M1版のレイテンシは「240分の19秒」(OS標準)。しかも、タイプ遅延のばらつきの標準偏差は、M1版が最も小さかった。すなわち、「ブレずに短い遅延で入力できている」ということである。

 もう少し時間ができたら、もっとちゃんと計測してみたいが、少なくともこの値は、体感上の印象と一致している。

 自分の手元で「最も快適に文章を書ける機器」がM1版Macになった、という事実は非常に大きなものだ。

 さらに、マイクとカメラも改善された。カメラのモジュール自体に変化はなさそうなので、SoC側に搭載されたISPでの映像処理の変化だろう。これなら、Surfaceにも負けない。もちろん外部にカメラをつないだ方がきれいではあるが、そこまでしなくてもいいシーンは多い。何より、ビデオ会議をしても、その負荷でファンがうるさく回ったり、本体の熱が高くなったりしない。これは大きな変化であり、実に快適だ。

photo M1搭載MacBook Proはマイクとカメラも改善された

 結果として、今は仕事の多くがM1版MacBook Pro(もちろん、レビュー機材ではなく個人購入したもの。メモリは16GB)でこなすようになっている。

 iPad Proは隣で資料を出したりTwitterを表示したり、音楽や映像を流す機器として活躍している。立場が入れ替わってしまったのだ。

鬼が笑う「2021年の予想」

 今後の機材をどうするのか? 今ちょっと迷っている。

 良くも悪くも、M1版Macは、個人が使うPCの快適さに関する水準を変えてしまった部分がある。WindowsでもM1版Macと同じような静粛さや発熱の低さ、レイテンシの低さなどを実現するデバイスはどうしようか……と思案中だ。別にMacバンザイというつもりはないのだが、そのくらい、今回のM1版Macは「ジャンプアップした製品」だった。当然他社も対抗策を考えるはずなので、その動きを注視したい。

 Intelの第11世代Coreを使ったノートPCである「Evoプラットフォーム」準拠の製品などの評価も進めなければ……と思っているところだが、現状「いい」と思った製品はディスプレイの解像度が低かったり、キーボードのEnterキーの隣にいらないキーがあったりと、どうも自分の好みに合わないものが多い。なので、Windowsについては2021年のどこかのタイミングまで「注視」のままで行きたいとは思っている。

photo IntelのEvoプラットフォーム対応メーカー

 Windowsは、2021年に大きな変化が想定されている。デバイスの変化もそこが「本命」だろう。今年出るはずだったのに発売が延びた、という製品の話はいくつか耳にしている。だとすると、Windowsマシンは「2021年、特に後半の動きに注意」と予言しておきたい。

 一方、Macについても、「このM1版Mac、長くは使わないんじゃないかな……」という予想もある。ボディーがあまりに今までと同じ設計でありすぎるからだ。

 ディスプレイトレンドや動画撮影のトレンドを考えると、HDR非対応のディスプレイであることはマイナス。Appleが「ミニLEDを使ったMacやiPadを開発中」という噂は出ているが、それを考えると、ハイエンドMacはHDR対応のディスプレイを搭載する可能性が高いとも予想できる。

 それらの製品が自分の好むサイズになるかは別問題なので、「買い換える」とは言わない。だが、13インチから14インチサイズで「MacBook Proの上位モデル」に相当するものが出て、それがHDR対応ディスプレイを搭載していたとしたら……という想像はある。そうなったら、またその時に対応を考えることとしたい。

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