例えば家族全員でドコモを利用していて、毎月の引き落としをまとめているとする。
その中から1人、ahamoに変更した場合、その人の分は引き落とし口座やクレジットカードが別になってしまうのだ。
他にも家族間通話が無料になる「ファミリー割引」など、同じドコモユーザーとしてまとめられる枠の中に、ahamoを契約している電話番号は入れられない。同じドコモのサービスであれば普通はまとめられるはずだ。
これはKDDIとUQ mobileやソフトバンクとY!mobileなど、他のMNOとサブブランドでも同じで、会社は同じでもメインブランドとサブブランドでは請求を一つにまとめるといったことには対応していない。
ahamoを契約した場合、各種手続きはオンラインのみでの受付となる。新規契約に伴う端末購入や機種変更も同様で、ahamoのオンラインショップからの購入になる。ドコモの井伊基之社長も発表会で「ahamoのコンセプトに合った端末の提供を検討中」と話したように、ahamo回線で購入できる端末は従来のドコモ回線とは別になる。
従来のドコモ向けの端末がahamoオンラインショップのラインアップに入る可能性もあるが、従来のプラン向けに発表された端末をahamoの回線で必ずしも購入できるとは限らないことには注意したい。
この端末販売経路や各種手続きの分離も、やはりサブブランドとして用意していた名残にみえる。
他社が1980円から3980円程度の価格で、メインブランドよりも安価なサービスをサブブランドとして提供しているため、ahamoを「新料金」として打ち出されても、これだけ名残があれば「もともとはサブブランドだったのだろう」と疑わざるを得ない。
発表会の質疑応答で記者から上がった「ahamoは当初サブブランドとして検討したのか」という質問に対し、井伊社長は「ブランドはユーザーが価値を決めるものであり、メインやサブ、20代のブランドを決めるのはおこがましい」と歯切れの悪い回答となっていた。
仮にahamoがサブブランドで検討されていたものだとして、いつ新料金としての打ち出しに変わったのかは分からない。しかし11月27日に開かれた武田良太総務大臣の記者会見では、キャリアの料金プラン値下げについて「羊頭狗肉」と不快感を表した批判もあった。これはメインブランドの料金の値下げは行わず、選択肢をサブブランドに追加したKDDIとソフトバンクに対するものだった。これを受けて、ahamoを急きょサブブランドから料金プランに変えた可能性は考えられなくはない。
今回の発表会では、既存料金プランの見直しについても「12月中に発表する」(井伊社長)と発言。選択肢だけ増やし、安くしたければユーザーに任せる姿勢ではなく、既存ユーザーもそのまま値下げを実感できるような取り組みを今後発表する姿勢を明らかにしている。
いずれにしてもahamoの発表は、他の大手キャリア、サブブランド、MVNOと、国内の携帯電話市場において大きな値下げ圧力になったことだけは確かだ。
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