編集用キーボードのSpeed Editorは、昔のテープ編集時代の小規模編集機に似ている。モデルとなったのはSONY BVE-910辺りだろうか。これはVTRを4台までコントロール可能な編集機で、番組のサブ出しやちょっと大がかりな報道番組で使用された。EDL(編集結果のタイムコードリスト)がデータで残せるので、あとで大型編集機で作業を行う際にも便利であった。
DaVinci Resolveには、大型編集機を模した「Editor Keyboard」もある。ただしこちらは価格が11万3800円もする、放送局やポストプロダクションで導入するクラスの製品である。それからすると、Speed Editorの3万5980円はかなり安く感じる。一番コストがかかるのがジョグシャトルダイヤルだが、質感も高く、恐らくEditor Keyboardと同じものなのだろう。他のキーの質感もなかなかいい。1つリムーバーでキーを抜いてみたところ、Cherryの赤軸であった。むしろ3万5980円では原価割れしているのではないかと心配になるほどだ。
背面にUSB Type-C端子があるので、USBキーボードだと思っている人も多いと思うが、実はバッテリーを内蔵したBluetoothキーボードである。ただ、キーボード本体にはペアリング用のボタンもバッテリー残量を示すものも何もないので、普通のBluetoothキーボードとは作法が全然違う。加えてキー操作もDaVinci Resolve専用となっており、他のアプリは反応しない。
DaVinci Resolveには、編集モードが2種類搭載されている。コンテンツの組み立て機能が全部そろっている「Edit」と、報道や粗編集用としてスピーディに編集できる「Cut」だ。Speed Editorは、この「Cut」で使用するためのキーボードとなる。ただ「Edit」とショートカットが共通なので、「Edit」でも多くの機能はそのまま動作するようだ。
さて、今回編集する素材は、iPhone 12 miniで撮影した4K/H.265の動画である。筆者は定期的に無農薬栽培の畑の模様をYouTubeにアップしており、これまではFinal Cut Proで編集してきた。撮影素材としては20分程度、完成は5分程度のセルフレポートコンテンツなので、難しい編集ではない。これをM1対応となったDaVinci Resolveの「Cut」で、Speed Editorを使って編集してみる。
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