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» 2020年12月17日 17時30分 公開

マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!:AIブームは完全終了? コロナ対策でDXは躍進 2020年のAI業界を振り返る (1/3)

新型コロナで揺れた2020年。年明けこそ世の中は平穏でAIには注目も集まっていましたが、コロナ禍になってからはDXが表舞台に躍進し、AIは影を潜めるように。今年のAI業界をマスクド・アナライズさんが振り返ります。

[マスクド・アナライズ,ITmedia]

 2020年は新日本プロレスの獣神サンダー・ライガー選手の引退という時代の終焉に始まり、世界が大きな危機に見舞われた1年でした。本記事ではAI・データサイエンスを取り巻く環境変化を、社会情勢とともに振り返ります。

連載:マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!

マスク

自称“AI(人工知能)ベンチャーでの経験を基に、情報発信するマスクマン”こと、マスクド・アナライズさんが、AIをめぐる現状について、たっぷりの愛情とちょっぴり刺激的な毒を織り交ぜてお伝えします。今後は、AI情報だけでなくIT業界全般に役立つ情報もお届けしていきます。

お問い合わせのメールは info@maskedanl.com まで。Twitter:@maskedanl

(編集:井上輝一)


年明けは平穏 AIテーマの作品や無人決済店舗などが注目

 年明けは平穏な世の中であり、2019年9月から放送されていた、AIやアンドロイドをテーマにした「仮面ライダーゼロワン」や、AIの暴走をテーマにした映画「AI崩壊」の公開が話題になっていました。

 フィクションでは暴走や崩壊が描かれていたAIでも、現実のIT業界では活況で、転職求人倍率は高止まりを維持しており、外国人人材の積極雇用も叫ばれました。

 AIの社会実装も進み、JR山手線の高輪ゲートウェイ駅には、AI技術を活用した無人決済店舗「TOUCH TO GO」のオープンが発表されました。AI・データサイエンスのスタートアップでは、株式上場や資金調達など景気の良い話題で盛り上がり、「DXブームに続いてAIも拡大するだろう」という感覚でした。

コロナで暗雲 「AIよりもまずリモート」の雰囲気に

 しかし、2月にはクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の一件で、暗雲が立ち込めてきます。19年から「武漢肺炎」と呼ばれていた、新型コロナウイルスによる集団感染が発生し、日本でも危機感が高まっていきました。ドラッグストアの店頭からマスクや消毒液が無くなり、4月からの全国的な緊急事態宣言下では連日「ソーシャルディスタンス」「ステイホーム」「PCR検査」「クラスター」が叫ばれて、不安になった方も多いでしょう。

 その頃、AI・データサイエンス業界では、汎用言語モデル「GPT-3」による自然な会話や文章が話題となり、米Googleの研究者である李飛飛(Fei-Fei Li)氏が、米Twitterの取締役に就任しました。

 日本国内では行政や医療機関におけるIT化の遅れが露呈し、東京都庁は感染者の情報共有手段がFAX2台(後に4台に増設)という状況でした。

 一方で中国における感染防止策や、台湾のIT大臣であるオードリー・タン氏によるマスクの在庫管理などでITが活用されており、日本側の遅れが際立った面もありました(社会構造や法律の違いもあるので一概に比較はできませんが)。

 それでも、日本では東京都の宮坂学副都知事が中心となって制作したコロナ情報共有サイトのGitHub公開や、感染通知アプリ「COCOA」の有志による短期間でのリリースといった成果も見られました。

 こうしてアベノマスクが届いた夏前にはマスクを巡る騒動も落ち着き、「新しい生活様式」に慣れていきます。

 業務がテレワークに移行して、現在でも自宅で仕事をする方も多いでしょう。この頃になると「工場に配属されたIT未経験の新人をAI人材に育ててほしい」という、大企業にありがちなミスマッチとむちゃ振りが見られるなど、かつての日常を思い出させてくれました。

 春から夏にかけて、マイナンバーを巡って新たな問題が出てきました。給付金をマイナンバーで申請すると書類で手続きするより手間がかかったり、助成金の書類のためにオフィスに出社してハンコを押したりという事態が発生しました。

 企業が緊急事態宣言によってテレワークへ移行するため予算やリソースを一気に投入しており、筆者もコロナのあおりを受けて仕事が大量キャンセルとなり、この時期は引きこもってある仕事に取り組んでいました。

 AI分野ではAIチャットbotの「りんな」が日本マイクロソフトから独立。文章生成言語モデル「GPT-3」の登場とともに自然言語処理の進化を実感しました。

秋からは河野大臣がDXを主導

 秋になると新日本プロレスのハロルド・ジョージ・メイ社長退任やグレート-O-カーン様の凱旋帰国が話題を集める中で、菅政権における河野太郎行政改革大臣が中心となって、国レベルでのDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進が始まりました。

 河野大臣はハンコの廃止、デジタル庁の創設、パスワード付きZIPファイルとパスワードの別送廃止、ペーパーレス化の推進を発表し、経済産業省も「デジタルトランスフォーメーション銘柄 2020」を発表しています。

 こうしてAIブームの終わりとDX・デジタル化への転換を一気に加速させる下準備となったのが、2020年といえるでしょう。

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