そんな背景のさいたまコレクションだが、要となるNEC the WISEでファッションを評価する仕組みはこうだ。まずAIの学習用に、男女問わず幅広い世代のコーディネートの画像を収集。SNSで募集した他、衣料品大手でさいたま市に本社を構えるしまむらからも提供を受けた。
次に、画像を生成するAIと画像を評価するAIを敵対させて自然な画像を生成する「GAN」(敵対的生成ネットワーク)を使い、架空のトップスとボトムスの画像を大量に生成。「袖が4つ付いたトップスや、何のアイテムか判別できない画像もできました」とプロジェクトに携わったNECの世良拓也さん(AI・アナリティクス事業部)は言う。
そして、服飾専門家やファッションデザイナー7人がプロジェクト用とは別のコーディネート画像を見て、それぞれが“カッコいい”と思う基準で1つずつ点数化。そのデータと、ディープラーニングによって読み込んだ画像データの傾向を学習し、分類の精度を高める技術「RAPID機械学習」を組み合わせ、GANで生成された画像から“カッコいい”画像を判定。その結果を基にトップスとボトムスを4着ずつ制作し、さいたまコレクションが出来上がった。
世良さんは「今回は鮮やかな色合いの方が“カッコいい”と判定される傾向にありました。デザイナーなど人の判定が真っ黒やモノトーンを好む傾向だったら、違う結果になったと思います」と説明する。
さいたま国際芸術祭で展示したところ、来場者からは「AIが作ったファッションなんて面白い」といった感想があったという。
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