RescueTimeはWebブラウザにも拡張機能をインストールして利用できますが、集計だけでなく「SNS」のカテゴリーや「動画サイト」のカテゴリーに入っているサイトをブロックする機能もあります。うっかりと作業中に関係のないサイトを開かないように先回りしておくこともできるのです。
最終的には日々の作業記録から1カ月全体の記録まで自在に見ることができるので、どれだけ作業をしていたのかについて自信を持つことができます。
RescueTimeはデザインがよく機能が多彩ですが、有料のサービスです。とりあえず無料で時間トラッキングサービスを始めてみたいというひとは、オープンソースで開発が進められている「ActivityWatch」を利用するのがいいでしょう。
Webサービスではないため、複数端末でトラッキングをすることはできませんが(同期機能は開発中)、それ以外はカテゴリー分けした集計などといった主要な機能はRescueTimeに劣りません。
時間トラッキングサービスはちょっとマニアックな部分があり、初めて使った人には居心地が悪いかもしれません。どのように時間を使っているのか常に監視されている気がして嫌だという人もいるでしょう。
しかし、実は時間トラッキングは誰かに時間の使い方を弁解するために使うよりも、時間を使いすぎないよう、自己防衛するために使う方がはるかにメリットが多いものなのです。
2020年の3月、ニューヨークやロサンゼルスなど米国の大都市で新型コロナウイルスを抑え込むためのロックダウンが開始し、多くの人がリモートワークにシフトしたことで一つの社会問題が発生しました。それは自宅ではサボってしまうために生産性が低くなるという問題ではなく、むしろ逆でオーバーワークが発生することでバーンアウト、すなわち燃え尽き症候群になってしまう人が大量に生まれたのです。
原因はさまざま議論されていますが、リモートワークになったからといって仕事が減るわけではなくむしろ手間が増えてしまったこと、自宅にいることでどのように評価されるのかが分からないために不安に駆られて必要以上に自宅で仕事をしすぎた人々が多かったためではないかといわれています。
リモートワークの本来の利点は、出勤や移動から開放され、時間を選択してフレキシブルに仕事ができる点にあります。
しかしお互いの姿が見えないため、上司に報告する立場の人は不安から必要以上に作業に根を詰めてしまったり、上司は疑心暗鬼から必要以上に時間の使い方を報告させようとしてしまったりといった悪循環が生まれることもあるのです。
逆説的に見えるかもしれませんが、時間トラッキングサービスは時間の使い方を可視化することでこうした状況を改善することに利用できます。
例えば退勤を気にすることがなくなったために、自宅でも必要以上にいつまでも作業を続けてしまっている人は、そのアンバランスさがデータとなって見えてきます。可視化を通して、作業が非効率になっていないか、仕事の分担が過大ではないかといった反省と調整を行うことが可能になるのです。
誰かに「サボっていないか?」と批判されるのではないかと不安になっている人も、こうしたデータを見ることで「改善の余地はあるが、現時点でやるべきことはしているな」と落ち着くことに利用できます。また、万が一、誰かにそうした指摘をされた場合でも作業記録を見せることで客観的証拠に基づいて納得してもらえます。少なくとも、お互いの姿が見えないために生じる疑心暗鬼を、データで解きほぐしてゆくいとぐちになるのです。
リモートワークに生まれがちな死角のせいで発生する不安や疑心暗鬼を解消してラクに仕事を回してゆくためにも、時間トラッキングサービスによる時間の可視化は役に立つのです。
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