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「PCの復権」「ローカル回帰」の次に来るのは? 2021年のテック・ガジェット業界を予測する(3/4 ページ)

» 2020年12月31日 07時37分 公開
[西田宗千佳ITmedia]

簡単には進まぬ「脱x86」、鍵を握るWindowsの動向

 コンシューマーデバイスの中でもっとも活況に動きそうなのはPCだ。コロナ禍でPCの価値が見直され、商品価値を高め、低価格化していくのは間違いない。開発期間を考えると、2020年に出てきた商品はコロナ禍の前に企画されたものがほとんど。コロナ禍での利用傾向を受けた製品は、2021年以降に本格的に出てくると考えるのが自然だ。

 一方で、さらにそこに影響を与えそうなのが「M1 Mac」の快進撃だ。M1 Macが想像以上に良い製品になったことは、コンシューマー市場に刺激を与えている。もちろん、Macのシェアは世界的に見れば10%前後で、いきなりWindowsが減っていくとも思えない。だが、M1がノート型としては異例なほど快適な製品に仕上がっていたことは、他のPCにも影響を与えるだろう。

photo ArmベースのM1チップがx86への大きな脅威となった

 といっても、すぐにIntel系からArm系に移行する製品が増えるとも思えない。そのためには、Arm版Windows 10の完成度が上がらないといけないからだ。QualcommなどとMicrosoftが強い協力関係を敷き、完成度を上げていければ面白いことになる。まあその前に、M1 Macの仮想マシン(具体的にはParalelles Desktop)向けにArm版Windows 10を供給することになりそうな雲行きもあり、その結果がどうなるかが楽しみだ。

 むしろ注目しておきたいのは、「もう一つのWindows 10」である「Windows 10X」採用製品の動きがどうなるかだ。

 もともとWindows 10Xは、「デュアルスクリーンを想定」「従来のWindows用アプリ(いわゆるWin32アプリ)が動く」新しいOS、とされてきた。Microsoftが2019年秋に発表し、2020年発売予定だった「Surface Neo」などに採用予定だったが大きく方向転換し、「シングルスクリーンも対象」「Win32アプリは動作しない」OSになった。結果としてどんなデバイスが出てくるのが逆によく分からなくなってしまったのだが、多分、2021年には何か出る。

 とはいえ、今年PC(Mac)が見直された理由である「自由度」が欠けている上に、アプリストアの市場規模的にも魅力が薄いので、商品としての価値もさほど上がりそうにない。「WindowsとEdgeをコアに作り、Androidの動かないChromebook」になってしまわないだろうか。

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