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「PCの復権」「ローカル回帰」の次に来るのは? 2021年のテック・ガジェット業界を予測する(4/4 ページ)

» 2020年12月31日 07時37分 公開
[西田宗千佳ITmedia]
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AV機器は「演算による高品質化」が続く

 ではAV機器やゲーム機はどうか?

 テレビは大きな規格変化はない。HDMI 2.1を採用し、4K/120HzやVRR(Variable Refresh Rate)といった規格に対応した製品が増えるだろうが、それが主軸というところか。あとは、特に中国メーカー系のパネルを採用した、大手家電メーカー以外によるモデルの中に、ミニLED採用の液晶が増える、というくらいだろう。2020年から低価格製品の台頭が目立ったが、その流れは続きそうだ。

 ミニLEDという意味では、いくつかのPCやタブレットで、ミニLEDによる高画質化を選ぶものが出てきても不思議はない。Apple製品で採用の噂があるが、真偽はともかく、方向性として間違いではない。単純に文字を出すならミニLEDの採用はあまり意味がないが、HDR映像をちゃんと見せるなら、ダイナミックレンジを取りやすく、同じサイズの有機ELより調達数を稼ぎやすいミニLEDの採用はありうる。

 ヘッドフォンに関しては、相変わらず市場はワイヤレスを軸に動くだろう。超高音質市場よりも、機能やデザインを重視した製品が主軸だ。いわゆる「外部音取り込み」系の機能を生かした製品や、個人の耳に合わせたチューニング機能を搭載した製品も増えるだろう。

 そうした要素は演算による高音質化、いわば「Conputational Music」であり、ここ数年、いくつかのオーディオメーカーが推進してきた流れである。その1社がAppleだ。

 AirPods Maxも、あまり言及されることはないものの、個人の耳や周囲の音に合わせたチューニングを「自動で行い続ける」ことで、設定なしに良い音を実現している。商品性などに、個人的には若干疑問もあるのだが、そういう「ソフトによる進化」の方向性はより増えていくだろう。少なくとも、従来通りの「良いパーツを使いコストをかけ、一部の人だけが分かる高音質を目指す」だけが、オーディオの在り方ではなくなっているのは間違いない。カメラが一眼とスマートフォンで大きく違うものに別れていったのと同じだ。

photo 「コンピュテーショナルオーディオ」というキーワードを打ち出したAirPods Max

 ゲーム機は、2020年に刷新されたので端境期だろう。2021年前半のうちに生産が追いつき、入手が容易になることを期待したい、くらいのところだろうか。ことPS5については、UHD BDプレーヤーの機能がまだシンプルで、発展途上という印象を受けている。特に「立体音響対応」の部分で、アップデートを期待したい。

 PS5絡みでいえば、nasneがバッファロー傘下で復活するのも2021年春だ。これについては、発売時期を考えると、比較的早く追加情報が出てくるものと思われる。

 コロナ禍以降の傾向として、マイクやカメラの活用が注目されたが、その辺は2021年の商品にも反映されるものと思う。1年後、そうした配慮が不要になっているとありがたいが、今の流れを見ると、「うまくいって後半に落ち着きが見えてくる」程度ではないか、という気がする。

 この辺の時期的な予測は外れて、2021年後半には海外出張が再開されているとうれしい。2022年のCESはラスベガスに行きたい。

 2021年前半、我々がどれだけ「ジリジリとした回復に耐えられるか」かカギであり、そこに関連する商品・サービスは、やはりヒットの可能性があるのではないか。ぼんやりと、そんなことを考えているところだ。

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