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折り畳みディスプレイは弱点克服 次は「三つ折り」「ローラブル」?──モバイル端末の2021年を占う(2/3 ページ)

» 2021年01月12日 16時00分 公開
[石井徹ITmedia]

フォルダブルディスプレイ搭載の折りたたみケータイ型スマホも登場

 20年のフォルダブルでは、よりシンプルな活用法も提案された。米Motorola Mobility(以下モトローラ)の「motorola razr」とサムスンの「Galaxy Z Flip」だ。どちらも縦長のスマホを畳めるという持ち運びの利便性をフォルダブルディスプレイで実現している。

 モトローラは伝統のブランド「Motorola RAZR」を復活させた。元祖RAZRシリーズは2G/3G対応の薄型ケータイで、04年発売の「Motorola RAZR V3」は、米国でのトップセラーの座を初代iPhoneに明け渡すまで3年間に渡って維持しつづけた人気モデルだった。

 このコンセプトをスマホ時代に復活させたのが、19年発表のmotorola razrだ。20年には5G対応版「motorola razr 5G」が発表された。丸みを帯びた上下の形状や無骨なデザインで、かつて一世を風靡(ふうび)したモデルを踏襲している。

「motorola razr 5G」

 motorola razrシリーズは日本では未発売だが、21年の展開も期待できそうだ。モトローラ・ジャパンでは現在、低価格なSIMフリースマホを中心に展開しているが、今後は日本向けに上位モデルを拡充する方針を示している。ブランドを象徴するモデルとして、motorola razr 5Gほど適任なモデルはないだろう。

「Galaxy Z Flip」

 一方、サムスンも縦折り型フォルダブルスマホ「Galaxy Z Flip」を投入。20年2月に4G LTE版、7月には5G版の2種類を発売。どちらも国内ではKDDIが独占販売している(Z Flip 5Gは日本では11月発売)。

 価格はZ Flip/Z Flip 5Gとも約18万円で、ストレート型のハイエンドスマホの2倍弱の価格となっている。防水に対応しないなど、機能面でも課題はある。新しい技術を試したいギークか、人と違うスマホを持ちたい人が選ぶようなファッション性を意識したアイテムに仕上げている。

 ファッション性の追求という面では、Galaxy Z FlipとGalaxy Z Fold 2 5Gで高級ファッションブランドとのコラボモデル「Thom Browne Edition」が日本で投入されたことも触れておきたい。Galaxy Z Fold 2 5Gの場合、スマートウォッチと完全ワイヤレスイヤホンがセットで40万円強とまさしく高級品だ。

 サムスン電子ジャパンはこれまで携帯キャリアを通じてスマホを販売していたが、Thom Browne Editionではメーカーブランドとして取り扱う初のSIMフリー製品となった。

 日本の携帯市場では政府の方針でキャリアに対する値引き規制が導入されるなどして、SIMフリースマホを販売しやすい状況になりつつある。今後も、特に高性能かつニッチなプレミアムモデルでは、SIMフリーで展開されるケースが増えてくるだろう。

モバイルPC初のフォルダブル「ThinkPad X1 Fold」

 モトローラの親会社でもある中国Lenovoは11月、世界初のフォルダブルディスプレイ搭載PC「ThinkPad X1 Fold」を発売した。日本の販売価格は40万円弱。

 ThinkPad X1 Foldは、横浜にある開発拠点「大和研究所」で開発されたモバイルPCで、ThinkPadらしい生産性向上を意識した工夫が随所に取り込まれた製品だ。

世界初のフォルダブルディスプレイ搭載PC「ThinkPad X1 Fold」

 LGディスプレイと共同開発したという、13.3型のフォルダブル有機ELディスプレイを搭載。重さは約1kgにまとめている。持ち運び時は半分に畳んで7インチサイズのミニノートのようなサイズ感となり、ディスプレイを立てればモバイルノートとしては大画面で使えるという寸法だ。

 画面の下半分を覆う薄型キーボードがセットになっているのがポイントで、高性能なミニノートPCのようなスタイルでも使える。マルチタッチディスプレイで、Windows Ink準拠のタッチペンに対応するなど多くの用途に1台で対応できるモデルとなっている。

 フォルダブルディスプレイの展開はスムーズで、固定できる角度も広めだ。価格の割に控えめな性能や電池持ちの短ささえ許容できれば、実践的に使える完成度の高いモバイルPCに仕上がっている。

 Windows 10では米Microsoftが2画面デバイスの「Surface Neo」を19年に発表しており、同時に折りたたみデバイスに最適化されたOS「Windows 10X」の提供も予告されている。ThinkPad X1 Foldは当初Windows 10搭載で発売されるが、Windows 10Xにも対応する予定だ。

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