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» 2021年01月29日 07時35分 公開

「こんなの俺らのAppleじゃない!」 M1 MacショックとWindowsの行方 小寺・西田の2021年新春対談(前編)(1/2 ページ)

メルマガを共同で発行する小寺信良さん、西田宗千佳さんが年明け早々に対談した。その刺激的な内容の一部をお届けする。

[小寺信良, 西田宗千佳,ITmedia]

 ジャーナリストの小寺信良さん、西田宗千佳さんの新春対談を前後編でお届けする。対談は1月4日に収録した。

この記事について

この記事は、毎週月曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」』から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年1月18日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額660円・税込)の申し込みはこちらから


 2020年はPCの人気が再燃した年だったのではないだろうか。昨年はWindows 7のサポート切れによる駆け込み需要が一段落して、落ち込みが懸念されていたのだが、蓋を開ければどのメーカーもかなりの増収となっている。

 MacもM1の登場で脚光を浴び、そしてWindowsは? という話である。

M1が変えた世界観

小寺 僕はけっこうビデオ編集をよくやるんですけど、ネット会議の影響もあって、PCの復権って2020年にけっこうあったと思ってるんですよ。

西田 あ、それはそうですね。2020年はPCの復権は間違いなくあったと思います。

小寺 これまでね、YouTubeに動画をあげてるライターさん、レポーターさんとかって、iPhoneで撮ってiPadで編集、みたいな感じだったわけですよ。去年、一昨年ぐらいは。

西田 2019年ぐらいですよね。

小寺 とくにiPadもAdobeのPremiere Rushが出てから、けっこう編集がちゃんとできるようになってきて、パフォーマンスもPCより良かったわけですよ。バッテリー効率もいいし、さくさく動画再生できるし。

 それがやっぱり、「そうじゃねえな」というか、そこに限界が来たな、というところがどうも見えたみたいで、みんなPCに戻っていった感じがありますよね。

西田 どう言えばいいのかな、クリエイティブなことができない、というのとはちょっと違うんだと思うんですよ。「決まったこと」はすごくやりやすいんですよね。でも、なんとなくコロナ禍で分かったのは、「決まってないこと」が今は多いな、という。

 例えば今、こうやって喋っている時に、外付けマイクを使いたい、とかあったりするじゃないですか。もしくは何回も記事で書いてるけど、タイプ音をキャンセルするソフトとかを使いたい、と思った時に、そういうものの自由度ってやっぱりPCのほうがありますよね。

小寺 それはありますね。

西田 安定しちゃえば、たぶん1年後とか2年後には全部スマートフォンとかiPadでもできるんだと思うんですけど。そういうアプリが絶対出てくるから。でも、それって「こうすればいい」って決まってからのことですよね。ビデオ編集とかってわりと決まってないし。「こうすれば」って、実は決まってるようで決まってない。

 今、こうやってビデオでコミュニケーションを取ってるのも、まだノウハウが出来上がってない、決まってないことですよね。で、決まってないことをするんだったらPCのほうがいいと。

小寺 うん。

西田 そこで、やっぱり11月になってどんでん返しが起きたのは、M1が出たことですよね。

小寺 そうですね。あれの登場でPC復権が決定的になった感じはありました。

西田 それまではPCっていいけど、うるせえな、とか、熱いな、とか、いろいろ頭の中にちょっとハテナを浮かべながら使ってた部分があるわけですよ。我慢して。ところが、 ご存じの通り、M1って「あれっ、なんだこれ」みたいな状態じゃないですか。

小寺 うん。

西田 トップパフォーマンスは足りないし、ストレージは遅い気はするけど、でもそれこそ、裏でAIでノイズキャンセルしながら録画して、タイプ音をキャンセルして、ってやっても、コトリとも音を立てない。MacBook Airの場合ファンがないからもともと立たないですけど、MacBook Proだって全然音を立てないし、バッテリーで動かしても全然気にならない。「あれ、PCってこんなに快適だっけ」みたいな。まあ、Macですけど。ビデオ編集もそうじゃないですか。

小寺 そうなんですよ。M1 Macの登場で、「iPadでもうちょいできればいいのに」ということがクリアされていったので、あれは「すごいiPad」なんですよ。

西田 うん。「すごいiPad」だと思います。

小寺 あとはやっぱり、パフォーマンスのわりには価格が安い、というところが最大の魅力。

西田 そうですね。結局僕MacBook Pro買ったんですけど、Airで良かったな、というのが本音ですよ、まじめに。

小寺 あんまり変わらないもんね。

photo ゲームチェンジャーとなったM1 Mac

西田 そう。初日に予約する段階では、やっぱりいつも通りの経験則があるので、「メモリは16GBないといけないし、ファンはあったほうがいろいろOKかな」って思ったんだけど、結果「いやごめんなさい、要らなかったわ」という。しまった、あと5、6万安くできたな、というのが本音としてはある(笑)。

小寺 あははは(笑)。確かに、MacBook Airで、4K/H.265のファイルも普通に編集できちゃいますもんね。

西田 うんうん。そこがやっぱり、初日からきちんと使えるものをAppleが出してくるとはわれわれは思ってなかったから。

小寺 初物は結構ひどいやつがあるからね。

西田 「ああやっぱりアプリが動かないから、Intel版を1年ぐらいは併用しないとダメだね」っていう予定稿を書くレベルだったじゃないですか。脳内では。ところがどっこい発表されて、僕はレビュー機材がその日に送られてくるわけですよ。で、使ってみたら「えっ、何これ」というのを、それこそ同じようにレビューを確実にしてると分かっている石川温さん辺りと、「石川さん、これどうなってんの? なんかおかしいですよね、こんなの俺らのAppleじゃない!」みたいな話を。

小寺 どんなAppleだったんだよ(笑)。

西田 PCとかMacを20何年触ってきて、ここまで「えっ」って思ったことはそうそうないですよね。そういう意味では本当に……いや、MacBook Air買ったのは正解だったと思いますよ。

小寺 はははは、ありがとうございます。良かったー。

西田 どれ買おうかって話になって、「やっぱりファンがあるからProのほうがいいっすよ」とかつて言ったじゃないですか、メッセージで。

小寺 言ったね、言ったね。

西田 ごめん、そんなことなかったわ、という。

小寺 大して回らないでしょ、ファン。

西田 回らないもん。今冬場だからってのはあるかもしれないですけど。コトリとも回ってないから。変わらないっすよ、これ。

小寺 あとね、PCでいいじゃんってなったのは、たぶんモバイルで使う機会が減ったからだと思うんですよね。

 それまでみんな、空中戦だったわけですよ。iPhoneで撮って、それをクラウド経由してiPadで編集する、みたいなのって、空中戦じゃないですか。バッテリーももつし、という。でも、空中戦をする必要がなくなったからだと思うんですよね。

西田 そうね。でもたぶん空中戦が必要になったら、空中戦ができるMacが出ちゃうんじゃないか、とか。

小寺 そういうことですよね。

西田 その頃には使い方が安定してるから、空中戦用のiPadでもよくなってるんじゃないか、とか。いろいろ状況が変わっていく気がするんですよね。

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