先行してサービスが開始していた海外のClubhouseルームでのマイクの回し方も参考にしてみましょう。
海外のルームでよく見られる光景ですが、登壇者が大勢いる場合でも筆頭モデレーター以外は基本的にマイクをミュートにして指名されない限り不規則な発言はしません。
発言をしたい人は、前の人の発言が終わったタイミングで「私の意見をインプットしてもよろしいですか?」「補足してもいいでしょうか?」「ちょっと私の経験を話させてください」といったように発言したい旨を告げます。
筆頭モデレーターはそれに対して「どうぞどうぞ」「もちろんですとも」と促すか、発言したい人が複数いる場合は順序を指定します。登壇者が長くしゃべりすぎている場合には、「他の登壇者の時間を大切にしてほしい」とやんわりと釘を差したうえで、要点の整理をおこないます。
登壇者の発言が終わったら、筆頭モデレーターが「貴重な意見をありがとう」「あなたは大事な点に触れてくれましたね」といったように発言者に感謝を述べるのも、海外ルームで見られる美しいやりとりです。
ここまで形式にこだわる必要はないかもしれませんが、まるで本物のステージの上でマイクを回しているように、ペースに注意しつつ登壇者に公平に発言の機会を与えることでルームの雰囲気は良くなります。
イベント的なルームを開催しているならば、ルームを何時まで開いておくつもりなのかあらかじめ想定しておきましょう。急に面白い登壇者が現れて時間が伸びる場合も、「ぜひこのかたにお話をうかがいたいので30分延長しましょう」といったように、オーディエンスに区切りを宣言します。
こうした宣言をしなくても、オーディエンスの数は見かけ上減らないかもしれません。しかしその心証は悪くなっている可能性があることは意識しておきたいところです。
オーディエンスが減らないのは、ルームに人気があるからとは限りません。有名人が発言しているのを見逃したら損をするかもしれない、大勢の人が見ているのに自分だけ去るのは寂しいといった、FOMO(Fear of missing out)の気持ちで残っていることもClubhouseでは多いからです。
それほど面白い会話ではなくてもFOMOでルームに縛り付けられているオーディエンスの居心地は悪くなります。疲れきるまでルームを続けるのではなく、「ではまた明日集まりましょう」といった具合に未来へとオーディエンスをつなぎ、すこし物足りないくらいのタイミングで幕を引くのもモデレーターの腕の見せどころなのです。
最後に、Clubhouseの特性に応じたオーディエンスへの呼び掛けも意識しておきましょう。
Clubhouseのオーディエンスは最初からいるとは限りません。途中からでも入室し、途中に離席してもういちど戻ってくる人も大勢います。登壇者は同じテーマでずっと話しているつもりでも、オーディエンスには話が見えなくなっていることも多いのです。
ときどきルームの目的を振り返ったり、登壇者を再度紹介したり、途中から入ってきた人にも話が見えるようにこれまでの流れを振り返ってまとめたり――といった気遣いも、Clubhouseならではのモデレーターの仕事です。
また、こうしてオーディエンスへ直接語りかけることで、登壇者とオーディエンスの間に生まれる無言の壁を取り払うことができます。登壇者とオーディエンスとの間にはもともと不公平さが存在することを意識して、オーディエンスの気持ちに寄り添った進行に努めましょう。
Clubhouseには瞬時に大勢の登壇者とオーディエンスをつなぐことができる大きな魅力があります。簡単につながることができるからといって、そのつながりに疲れが生まれないわけではありません。
時間をともにすることができる感動を大切にし、Clubhouseに疲れないようにするためにも、オーディエンスを魅了するルーム運営に注意してみてください。
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