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» 2021年02月28日 09時18分 公開

AI利用を後押しする新たな取り組み その一方で生まれるブラック・ギグワークウィズコロナ時代のテクノロジー(1/3 ページ)

コロナ禍はAI利用を促進する側面があるが、その一方でデジタルシフトによるブラックな仕事も生まれている。

[小林啓倫,ITmedia]

 機械学習のトレーニング用データの提供を行うオーストラリア企業Appenが、“The 2020 State of AI and Machine Learning”と題されたレポートを発表している。文字通り、人工知能や機械学習をめぐる2020年度の状況をまとめたものだ。

photo The 2020 State of AI and Machine Learning

 同レポートでは、世界374社を対象にしたアンケート調査を行っている。その中で「COVID-19はあなたの会社のAI戦略にどのような影響を与えたか」という質問に対し、「大きく加速した」と答えたのは全体の20%、「いくらか加速した」は21%だった。一方で「大きく減速した」は8%、「いくらか減速した」は23%となっており、加速したと回答した企業が減速したと回答した企業を10ポイントほど上回る結果となっている。

 パンデミックで経済が大きく停滞する中、もちろんさまざまなITプロジェクトを停止・縮小する企業は多いものの、全体としてAI導入はむしろ進んでいるわけだ。

 この連載「ウィズコロナ時代のテクノロジー」でも繰り返し扱っているように、新型コロナウイルス感染予防のためにソーシャルディスタンスが推奨される中で、人間による作業を代替する仕組みとしてAIへの注目が高まっている。

 AIはこれまで人間に任されてきた作業を代替することで、人間が体を動かす必要を減らし、結果としてウイルスの感染リスクを減らすことになる。またロックダウンなど人の移動が強制的に停止させられる事態になっても、業務を回し続けられる可能性が高まる。したがって業績低下が見込まれるとしても、むしろ見込まれるからこそ、AI導入という設備投資が不可欠なものとして認識されているのだろう。

 しかしAIは従来のITシステムと異なり、システムエンジニアを連れてきて開発すれば一丁あがりという代物ではない。AIの仕組みにもよるが、現在主流となっている機械学習を用いて開発する場合、AIが期待通りの判断をするようにトレーニングしてやる必要がある。そのために欠かせないのが各種のデータで、求められる量・求められる品質のデータを用意してAIに与えなければならない。

 そのデータ準備が曲者で、量と質が確保できないと、期待される動きをしなくなってしまう。最悪の場合には、偏見を持つ(特定の人種や性別に不利な判断を下すなど)といったビジネスに悪影響を与えるAIが生まれてしまいかねない。つまり適切なデータ管理が必要なわけだ。

 これは簡単な話ではなく、実際に先ほどのレポートでは、「社内のAIイニシアチブやプロジェクトにおいて最大のボトルネックになっているのは」という質問に対し、技術者の20%とビジネスリーダーの19%が「データ管理」を挙げており、これは「技術的リソースや専門人材の不足」に次ぐ第2位の要因となっている(こちらを挙げたのは技術者の24%とビジネスリーダーの21%)。

 そこでAppenのような、機械学習用のデータ準備・管理を支援するサービスを行う企業に注目が集まっているわけだ。このレポートに我田引水の傾向があることは否定できないものの、ウィズコロナ時代のAI普及において、AIが使うデータをどう用意するかという問題は引き続きクローズアップされていくだろう。

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