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エキナカの“一等地”にeスポーツ施設……なぜ? JR東に聞いた(2/2 ページ)

» 2021年03月08日 08時00分 公開
[河嶌太郎ITmedia]
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エキナカeスポーツ、中はどうなっている?

photo イベント&コミュニティエリア

 店内には部屋が2つあり、手前の部屋は「イベント&コミュニティエリア」と呼ばれている。ここには受け付けスペースに加え、PCを備え付けていない座席(12席)があり、自前の電子機器を持ち込んで勉強やテレワークを行える。奥の部屋は「パソコンエリア」と呼ばれるスペースで、ゲーミングPCを備えた座席(20席)やドリンクバーがある。

パソコンエリア

 価格は、パソコンエリアは最初の30分が350円(税込、以下同)、以降は10分ごとに100円。イベントエリアは最初の30分が250円、以降10分ごとに50円。いずれも、初回のみ入会金100円が必要になる。

 パック料金もあり、パソコンエリアは3時間パックが1100円、6時間パックが1800円。イベントエリアは3時間パックが600円、6時間パックが950円だ。土日祝日はパック料金がそれぞれ200円増しになる。

 記者が訪れたのは平日昼間だったが、この時間では大学生ぐらいのグループが利用していた。店長の菊山路男さんによれば、利用者は10代や20代の若い世代が多いが、40代・50代の利用もあり、中には親子で来店する人もいるという。

パソコンエリアの設備

 プレイできるゲームは、「Fortnite」(フォートナイト)や「Apex Legends」(エーペックスレジェンズ)などの基本無料タイトルに加え「信長の野望 Online」や「大航海時代Online」など、月額制のタイトルもラインアップしている。菊山店長は人気のタイトルについてこう話す。

 「小学生や10代はフォートナイトが人気。20代になるとApex Legendsを遊ぶ人が多い。一方30代以上だと、信長の野望 Onlineなど、通常は有料のタイトルを興味本位で遊びに来る人もいる」

今後の方針は?

 JR東日本スポーツでは今後、松戸駅以外にも都内を中心に同様のeスポーツ施設を展開していく方針だ。ただし、エリアの拡大に当たってはエキナカならではの制約もあるという。

 「エキナカは立地としては魅力的なのだが、駅というのはもともと線路とホームから始まり、増築を繰り返して今の形になっているところが多い。そのため、店のすぐ下が線路になっていて水回りなどのインフラがとれなかったり、インターネット回線が引けなかったりするケースもある」(岡村さん)

 実際に松戸駅を例に見ても、路線橋を拡張して駅にしたような「橋上駅舎」の形をとっている。松戸駅の場合は条件を満たしていたが、普通の街中のビルのテナントでは心配しなくていい問題が、エキナカでは起こりうるという。

photo 東京メトロがオープンする予定のeスポーツ施設のイメージ

 とはいえ、やはりエキナカをはじめとした駅近辺の立地は魅力的なのだろう。同じ鉄道事業者では、東京メトロも4月下旬にeスポーツ施設をオープンする予定だ。エキナカかどうかは公表していないが、少なくとも沿線でサービスを提供する予定という。

 かつて、ゲーム愛好家の交流の場は「不良のたまり場」とも言われたゲームセンターであった。そしてゲームセンターから多くのeスポーツプレイヤーが誕生していく。しかし近年では少子化やコロナ禍の影響もあり、プロのプレイヤーを輩出した名店であっても、次々と閉店しているのが現状だ。

 ところが時代が変わり、こうした役割を果たす場所がeスポーツ施設という形で健全化しているのは感慨深い。菊山店長も「ジェクサー・eスポーツステーションからプロのeスポーツプレイヤーが生まれればうれしい」と期待する。

 僭越(せんえつ)ながら記者は松戸市で高校時代を過ごし、ゲームセンターで音楽ゲームに明け暮れていたことがある。将来、松戸から日本を代表する選手が生まれてくれれば、こんなにうれしいことはない。

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