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「シン・エヴァ冒頭」に見る現代のテクノロジー 裏表のあるUSB端子はやはりギルティ?(2/4 ページ)

» 2021年03月10日 13時00分 公開
[井上輝一ITmedia]

「しんかい6500」のような作業用ポッド

 シン・エヴァ冒頭の映像が始まってまず映し出されるのは、赤く染まったパリに1本の黒い柱が立ち、そのてっぺんにWILLE(ヴィレ:NERVから分裂し、NERVによる「人類補完計画」を止めようとする組織。アスカ、ミサトなどが属する)の作業用ポッドが降下するところだ。

黒い柱のてっぺんに降り立つ作業用ポッド(『これまでのヱヴァンゲリヲン新劇場版』+『シン・エヴァンゲリオン劇場版 冒頭12分10秒10コマ』より (c)カラー) 後部にスクリューがあるのが分かる

 作業用ポッドからはWILLEのクルーが降り立ち、黒い柱にPCでハッキングを試みる。ポッドは冒頭で描かれた限りでは、上空にある母艦と地上をクルーが行き来するためのものでしかないが、外観に気になる点がある。

 ポッドの後部にはスクリューが取り付けられており、水中を進むことを意識しているようにも思われる。ここから、筆者は海洋研究開発機構(JAMSTEC)が保有する有人潜水調査船「しんかい6500」から着想を得たのでは? と推測した。

【追記:2021年3月10日午後1時40分 作中では「DSRV」(深海救難艇)と表現されている。DSRVがベースと考えた方が正確そうだ】

海洋研究開発機構(JAMSTEC)が保有する有人潜水調査船「しんかい6500

 もっとも、外観からは「スクリューがあること」「白いボディーにオレンジ色のアクセントカラーというカラーリングの類似」程度しか指摘できず、フォルムは大きく異なる。

 それでもこのポッドがしんかい6500のような潜水調査船をほうふつとさせるのは、この赤いパリが、人類にとって深海のように過酷な環境だからだ。

 細かい設定には立ち入らないが、赤い状態の大地では人類を含む従来の生命は長く生きられない。黒い柱をハッキングするのは、これが起動すればその周囲を元に戻せるからだ。

 実際、降り立つ際にはそもそも外への滞在が可能か調べた上で、WILLEの科学者である赤木リツコが「作業時間は今より720秒」と制限を設けている。

 結果として制限時間の11秒前にハッキングは成功するのだが、その直前に映っていたポッドの接地部は赤い侵食を受けていた。

ハッキング成功直前の作業用ポッド(『これまでのヱヴァンゲリヲン新劇場版』+『シン・エヴァンゲリオン劇場版 冒頭12分10秒10コマ』より (c)カラー) 接地部が赤く侵食されている

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