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» 2021年03月12日 16時32分 公開

医療探知犬の嗅覚を真似した機械学習装置 前立腺がんを同じ精度で検出Innovative Tech

訓練された犬と同程度の精度を実現した。

[山下裕毅,ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 英Medical Detection Dogs、米ジョンズ・ホプキンズ大学、米Cambridge Polymer Group、米Prostate Cancer Foundation、米テキサス大学エル・パソ校、米マサチューセッツ工科大学、米Imagination Engines、米ハーバード大学医学大学院による研究チームが開発した「Feasibility of integrating canine olfaction with chemical and microbial profiling of urine to detect lethal prostate cancer」は、患者の匂いから病気を早期発見することを目的に、訓練された犬(医療探知犬)を模倣するよう学習された機械学習システムだ。実験では、尿から前立腺がんを70%以上の精度で特定したという。

photo 医療探知犬の嗅覚テスト

 医療探知犬は、肺がん、乳がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、さらにはCOVID-19など、多くの種類の病気を嗅ぐだけで発見できると言われている。例えば、前立腺がんを含むいくつかのケースでは、患者の尿の匂いを嗅ぐことで病気を検出でき、99%の成功率を記録したという。

 しかし、医療探知犬たちを訓練するには時間がかかり、活用できる時間も限られている。そこで、医療探知犬の嗅覚能力を自動化した装置を開発した。医療探知犬の鼻よりもさらに高い感度で、空気サンプルの化学物質や微生物の含有量を検出できるシステムだという。

 医療探知犬との大きな違いは、データを機械学習で分析しているところ。学習も医療探知犬の癌診断を模倣するために、GC-MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)データに基づいて訓練している。

 英国のMedical Detection Dogsが訓練している医療探知犬と、今回の検出システムの両方を活用して、前立腺がんが確認された患者と病気がない被験者の尿検体50個の嗅ぎ分けテストを行った。尿検体は、ジョンズ・ホプキンス大学の審査委員会の承認を受けたプロトコルに基づいて採取した。同じサンプルをテストしたところ、どちらの方法も70%以上の成功率を記録したという。

 研究チームは臨床に適したレベルにまで発展させるための枠組みと位置付け、大量のサンプルでのテストを望んでいる。

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