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Appleに続き、Googleもアプリストアの手数料を半額に デベロッパーはどう動く?(2/3 ページ)

» 2021年04月12日 09時07分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]

GAFA解体論への対抗策?

 この、“テラ銭”割引のチョイ上狙い作戦には、どのような目論見(もくろみ)があるのだろうか。この件に関する公開情報「Boosting developer success on Google Play」を読むだけでは、その真意は不明だ。ただ、「Googleの幅広いミッションに沿った、全てのデベロッパーの成功を支援するという公平なアプローチ」と明言しているところから、「Appleと違い、規模の大小に関係なくGoogleの下では皆平等ね」と主張したいのかもしれない。

photo Googleの割引措置は、3月16日に「Android Developers Blog」で公表された。7月からの実施だが、詳細は後日発表とある

 ただ、両社が手数料を割り引く背景には、GAFA解体論の高まりがある。寡占状態でもうけすぎの批判に対し、矛先をかわす狙いがあると思われる。

 モバイルアプリのマーケティングを手掛けるSensor Towerが公開したデータによると、2020年のアプリ市場で、Google Playが386億ドル(約4兆2404億円)、App Storeに至っては、723億ドル(約7兆9424億円)の売り上げをたたき出している。2020年はコロナ禍によるステイホームの影響からか、両社ともに売り上げを3割も伸ばしている。

photo 2020年の世界のアプリ売り上げ規模。

 2020年8月には、Epic GamesとAppleの間で、手数料バトルが勃発した。Epicの規約違反に対し人気ゲーム「フォートナイト」をApp Storeから削除したことに端を発し、法廷を巻き込んだ泥沼闘争に発展したことは記憶に新しい。

 その際、「特別扱いはしない」と公式コメントを出したAppleだが、ティム・クックCEOが米議会公聴会で、「NetflixとAmazon Primeは交渉で15%にした。2年目から30%から15%になる可能性もある」と、相対契約による特別扱いが存在することを明かし、Appleの言行不一致が問題をさらにややこしくした。

 9月には、EpicやSpotifyを含む複数の開発者が、AppleとGoogleにおけるアプリストア手数料の改善を求める連合を結成。Appleが割引プログラムを発表した際には、Epicのティム・スウィーニーCEOが、米メディアThe Vergeに対し、「批判をかわすためであり、ユーザーは、Apple税によりより高いアプリを買わされる」といった趣旨の批判的な発言をしている。Spotifyも同様の批判を展開している。

 両社の手数料割引措置が、GAFA解体論や値下げ要求連合の議論に対し、どのような影響を及ぼすのかは未知数だ。ただ、Appleの割引プログラムが適用された開発者のストア全売上げに占める比率は、一説には5%程度ということなので、Appleにとって割引措置は、痛くもかゆくもないのかもしれない。これは、Googleも似たようなものであろう。割引対象外の大手開発者を中心とした急進批判論者達は、これを契機に今まで以上に気炎を上げる可能性がある。

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