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Appleに続き、Googleもアプリストアの手数料を半額に デベロッパーはどう動く?(3/3 ページ)

» 2021年04月12日 09時07分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]
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増益を狙った抜け道対策はどうなる?

 Googleは、割引プログラムに関する詳細は、後日発表するとしているが、抜け道対策をどのように実施するのかを注視しておきたい。抜け道というのは、次のような手法だ。

 例えば、単体で100万ドルを売り上げるような、複数の人気アプリをリリースしている企業であれば、グループ企業にアプリを譲渡することで、100万ドルに到達するまでの増益分15%をグループ企業に振り分けることができる。

 そうなると、グループ全体としてより高い利益の獲得が可能だ。連結対象の親子関係の会社であれば、利益の移転等も合法的にできるのではないだろうか。もちろん、税制は国により異なるので、全てにおいて有効な策とは言いがたいが……。

 Appleのプログラムでは、このような抜け道対策も考慮されている。2020年12月以降、アプリを譲渡したり、逆に譲渡を受けた開発者にはプログラムの参加資格はないと規定している。さらに、Appleの場合、前年が100万ドル以下の実績で、プログラムへの参加が許された場合であっても、翌年の売り上げが100万ドルを超えた時点で、それ以後の売り上げについては、通常手数料30%が適用される。

Android版Super Manetronが登場しない理由

 最後に、iOSアプリの開発者であると同時にAppleの割引対象者でもある筆者の実録体験談でこの記事を結びたい。

 Appleは、テラ銭15%施策を開始するに当たり、2020年末に開発者からの申請に基づく審査を実施した。「Super Manetron」や「Combo Organ Model V」といったヴィンテージ鍵盤楽器のクローンアプリをリリースしている筆者のもとに、申請を促すメールが届いたのが、2020年12月初旬だった。

photo 1960年代のサイケデリックなロックシーンで大活躍したVOXのコンボオルガンをシミュレートしたCombo Organ Model V。実機からサンプリングした音源を鳴らしている

 そこには、「2021年1月から手数料割引を受けたければ、12月18日までに申請してね」とあり、月半ばに申請した結果、12月23日に、無事に「割引プログラムへようこそ」の知らせが舞い込んだ。そして、めでたく1月以降、筆者の下にはアプリ売り上げの85%の利益がもたらされることになった。

 これで、めでたしめでたし、といいたいところだが、大きな喜びはない。何せ、筆者の場合、近年のダウンロード数低迷で、15%程度の増加は、お小遣い程度のレベル。まあ、それでも減るよりかはましだが……。

 仮に筆者の鍵盤楽器アプリが、Androidにも対応していれば、7月以降、増収効果も2倍になり、少しは喜びも増すのかもしれない。ただ、筆者の場合、今のところ、Android版をリリースする予定はない。

 なぜか。かつて、Android版を検討した際、発音レイテンシの大きさにがくぜんとしたからだ。ただ、Android 6.0以降は約20ミリ秒とiOS並に改善した、という話も聞くので、今テストするとそれなりに満足のいく結果が得られるのかもしれないが、実は、最近のiOSはその上を行き、レイテンシをさらに縮めている。人間では知覚できないレベルだ。

 普段から、このiOSの快適環境に慣れていると、Androidの発音の遅れは、やはり気になる。どうしても腰が重くなり、一歩が踏み出せないというわけだ。Androidユーザーの皆さま、お許しあれ。

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