2021年夏の東京オリンピック開催が揺れている。どうしても開催したい政府とIOCに対し、民意は「いやこれ正直無理じゃね?」という気持ちに傾いている。
そんな中、オリンピックのプレイベントとしての「聖火ランナーリレー」は粛々とスケジュールをこなしている。4月23日には四国から九州に渡り、東側を経由して沖縄へ、そこで折り返して西側を通って本州に戻る。
筆者が住む宮崎県では4月25、26日に聖火リレーが実施された。筆者もまだ第4波が確認されるまでは、せっかくなので見物しようと思っていたのだが、県内で22日に27人、24日には35人の新規感染者が確認され、第4波の発生が確定的となった。そうなっては、行くのははばかられる。
各地を回る聖火リレーの話題は、地元テレビではこのイベントを好意的に捉えているものが多い。選ばれたランナーも、その背景には「報道が語る要素」がある美談の持ち主が多い。これが平時であれば、好意的な報道で問題ないのだが、全国的にコロナウイルス第4波が確認されている中、沿道に多くの観客を集めるイベントを実施することの是非を問うスタンスは、テレビでは少ないように思える。
九州に限って民放各社の報道タイトルを調べてみたところ、以下のように報じられている。
これは一例に過ぎないが、沖縄県に渡った辺りから微妙にトーンが変わって、沖縄、熊本のタイトルは事実のみを淡々と報じているように見える。
その理由は、27日の鹿児島県での聖火リレーで、沿道で観客が密集しないよう呼びかけるプラカードを持つ業務を担当していた自治体職員3人と、交通整理に当たっていた自治体職員ら3人の計6人が、 コロナウイルスに感染したことが確認されたからだろう。
聖火リレー中の感染確認はこれが初めてではない。
4月22日には、香川県で聖火リレーの交通規制業務に当たっていた警察官1人の感染が確認されているが、大きなニュースにはならなかった。しかしTwitterは大きく反応し、ここ1カ月で聖火リレー関連のツイート数は最多であった。「Yahoo! リアルタイム検索」の分析によれば、ネガティブ反応は90%である。
それ以前の平均はネガティブ反応78%で、やはり聖火リレー関係者の感染は、国民感情を大きくネガティブ方向へ引っ張ったようだ。
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