いつの間にか日本人はパンが大好きになっていて、そこら中でおいしい食パンが買えるし、トーストが美味しく焼けるオーブントースターも次々に登場しています。子どもの頃は一日二食、今でも一日一食は必ずパンを食べる私にとっては、とても嬉しい時代になりました。
こんな時代になるとは夢にも思わなかった2007年の秋。私はPdwebというサイトで、オーブントースターの使い比べ、食べ比べの連載をしていたのですが、海外のトースターと国産のトースターでは焼け方が違うということに気が付いたりしていました。
どちらかというと、カリッとサックリと焼ける海外製のトースターと、ふんわりもっちり焼ける国産のトースターという印象で、どちらが美味しいというのではなく、美味しいトーストとはどういうものか、ということについての考え方の違いが面白いと思ったのです。
あれから14年経って、パンもトースターも選択肢が増えたのがとても嬉しく、つい、いろんな焼き方でトーストを楽しんでしまいます。その中で、食パンとバゲットに限っていえば、あやせものづくり研究会の「Sumi Toaster」を使って焼いたものが一番好きだと気が付きました。
餅は好きだけど、もっちり食感はあまり好きではない私にとって、海外製のトースターに近い、サックリとした軽い歯ごたえがたまらないのです。
それでいて、中はふんわりと柔らかく、しかも熱々。見た目は、ただの真っ黒な角皿のようなもので、それをコンロに乗せてパンを焼くだけの、この道具が何故1万1000円もするのかは、食べてみれば納得できるのですが、では、どうして、そんなに美味しく焼けるのか。
メーカーである旭工業の代表である嶋知之氏、プロデュースをしたアッシュコンセプト代表の名児耶秀美氏、デザイナーの八幡純二氏への取材と、私がさまざまな実験を行って分かったことを、ここに書いておこうと思います。
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