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カーボン削り出しのトースター「Sumi Toaster」がなぜ最新のオーブントースターに勝てるのか 開発陣に聞いてきた分かりにくいけれど面白いモノたち(2/5 ページ)

» 2021年05月20日 12時35分 公開
[納富廉邦ITmedia]

 「Sumi Toaster」は、その名の通り、ほぼ炭で出来たトースターです。素材となるカーボングラファイトは、99.99%が炭素でできていて、そのカーボングラファイトの塊から削り出して作られています。そのため、継ぎ目などは一切なく、だからこそ、熱も均等に伝わります。このカーボンが高価なのです。

 カーボングラファイトはコークスを焼き固めたものなのですが、その製造過程が大変。コークスを2000度で20日間焼いた後、さらに3000度で1週間焼いて作ります。高価なのも仕方ないという感じです。しかも塊で買って削り出すので、かなり大量にカーボングラファイトを使うことになります。そして、工業用ではなく家庭で使う道具として、表面を3回磨いてつるつるに仕上げてあるのです。この材料費+磨きの工賃だけで、かなりの価格になってしまいます。

 それでも、1万1000円という価格は、最近のパンが美味しく焼けるオーブントースターと比べれば安いし、何といっても場所を取りません。さらに、フッ素加工が施されていて、手入れも簡単です。鉄フライパンのような手入れも不要で、中性洗剤でサッと洗えます。食器洗い乾燥機にも対応。ついでに、ガスコンロだけでなく、IHヒーターや直火にも対応します。

photo コンロの火に掛けるだけで、本当に美味しいトーストが焼ける。コンロの他、IH、直火にも対応

 美味しく焼けるのは、要するに、炭火焼きと同じ効果でパンを焼くことができるから。まあ、炭の上で焼いているようなものなので、当たり前といえば当たり前なのですが、しかし、面倒な火起こしや換気などに手を取られることなく、家庭で手軽に炭火焼きが楽しめるわけで、それだけでかなり画期的。

 「炭火焼きと同じ、遠赤外線によって焼くので、外側を焼きながら、遠赤外線が内部から温めます。遠赤外線は食材の中に入り込みやすい波長をもっているのです」と嶋氏。

 では、実際の炭火焼きとの違いはあるのかと聞いたところ、「効果としては同じなのですが、大きく違うのは、その温度です。炭火焼きの場合、かなり高温になります。1000度くらいまで上がるので、焦げやすいし火加減が難しいのです。一方で、Sumi Toasterは200度くらいなので、火加減の調整がとても楽です」との回答。

 とはいっても、慣れるまでは火加減の調整が難しいのも確か。「3回は失敗します」と嶋氏は笑います。店頭でも説明するそうですが、3回くらい試してみると、自分好みの焼き加減に合う火加減が分かってきます。確かに、私も3枚くらい焼いたころにコツをつかみました。

 一度コツをつかむと、後は、焼き加減を実際に見て確かめながら焼けるので、「今日は少し焦がし目に」といった微調整も簡単です。

photo 表面にこんがりと焼け目が付いていて、中にも十分熱が入っているのに、水分が飛ばないので、糖分が少ない食パンでも、サックリふんわりと焼ける

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