米Googleは6月10日(現地時間)、個人を中傷する投稿を公開するWebサイトを取り締まるため、検索アルゴリズムを変更したと発表した。
こうしたWebサイトは、匿名の個人が他の個人について「人殺し」「小児性愛者」などと名指しで、時には連絡先を添えて投稿できるようになっており、投稿を削除するためには高額の手数料を支払わなければならない。Webサイトはプラットフォームなので米国のCommunications Decency Act(通信品位法)第230条(いわゆる「セクション230」)に守られており、提訴することもできない。
Googleは2018年から、こうした中傷を含むページの検索結果からの削除を被害者がリクエストできるようにしている。リクエストを認めた場合、ページを非表示にするだけでなく、Webサイトのページランクも低くなるようにした。
だが、米New York Timesが1月の記事でこうした嫌がらせが繰り返し行われるケースについての問題を提起したため、“既知の被害者”をさらに保護するためのアルゴリズム変更を行う。
New York Timesの記事では、過去に解雇した相手から恨みを買い、複数の中傷サイトにいわれのない中傷を大量に投稿され、Google検索での氏名の結果がこうした中傷で占められた被害者の体験が紹介されている。
新たなアルゴリズム変更で、被害者が1つの中傷Webサイトのページ削除を要求すると、ランキング保護を自動的に適用することで、類似するWebサイトのコンテンツが被害者の名前が検索結果に表示されないようにした。こうした保護をさらに拡大することも検討しているという。
この変更は、2015年に実施したリベンジポルノの被害者保護対策に触発されたもの。
Googleは約20年前に検索サービスの提供を開始した当時は、検索結果が極力中立になるようアルゴリズムをシンプルにしていたが、著作権侵害コンテンツや個人情報の表示、上記のリベンジポルノなどに対処するため、徐々にアルゴリズムを調整するようになっていった。2014年にはEUの「忘れられる権利」に対応するため、EU圏内居住者からの削除リクエストを受け入れるようになった。
New York Timesは、Googleのアルゴリズム変更後、中傷サイトの被害者数人の名前で確認したところ、被害者に関連する中傷コンテンツは検索結果にほとんど表示されなくなったとしている。
Googleは、検索の問題に「完璧な解決策というものはないが、これらの変更によって検索結果の品質は向上する」としている。
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