また、実は使われ方という点でも、この25年間で大きく変わっているのがUSBだ。
というのも、多少乱暴な説明となるが、当初のUSBは「データ通信がメインで、電源供給としての使われ方は主流ではなかった」ためである。
2.5Wという電力が供給できたのは、接続した機器が比較的電力を食わない場合、別途電源を接続しなくても使えるほうが便利なので、というメリットを考えたものだった。
しかし今や、よほどのiPhoneヘビーユーザーでない限り、USB端子を接続する局面で最も多いのは「スマートフォンとACアダプター(充電器)やモバイルバッテリーを接続して、充電する」場合ではないだろうか。
こうした視点で見ると、現在では一般的な「スマホの急速充電に使われるUSB」でさえ、実は仕様が作られた当初の想定からすると想定外に近いのである。
使われ方でさえもここまで大きく変わったのは、USBが当初から汎用性を考慮した仕様であることもあるが、それ以上にやはり、結果的にではあるけれど「ユーザーのニーズに寄り添った」結果であるから……と呼ぶのがふさわしいだろう。
このようにUSBは、歴史を振り返ったり、仕様を細かく見たりすると、意外な話や不思議な話がかなり多く出てくる仕様でもある。「謎と不思議が積み重なる、最後のフロンティア……いや、トワイライトゾーン的な世界」と表現したのは、こうした事情があるためだ。
このコーナーでは、そうした普段使っているとなかなか気が付かない、USBの謎や不思議の一端を、新しい話から古い話までを混ぜつつ、また手広く、なるべく堅苦しくならないように語っていきたい。意外なまでに奥深いUSBの世界、読者にもきっと驚く話があるのではないかと思っている。
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