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DMMブックス、初回100冊7割引きクーポンで損失60億円 オウンドメディアで明らかに

» 2021年07月01日 15時53分 公開
[ITmedia]

 DMMブックスが春に実施した初回購入者限定7割引きキャンペーンは、割引分を負担したDMM.comに約60億円の損失をもたらした。DMM.comグループのオウンドメディア「DMM INSIDE」が7月1日付の記事で明らかにした。

「DMM INSIDE」の記事

 記事は7割引きキャンペーンを「DMMの歴史のなかでも最大級のインパクトを残す赤字施策」と紹介し、担当者である電子書籍事業部の細山田部長と亀山敬司会長の対談をまとめた。

 問題のキャンペーンは、DMMブックスの名称変更(旧称:DMM電子書籍)を記念して3月25日に始めたもので、これまでDMMブックスで電子書籍を買ったことのない人を対象に初回は100冊まで7割引きにするクーポンを配布した。DMMブックスで販売している全ての電子書籍が対象で、人気コミックを始め、単価の高い図鑑や写真集、実用書なども含まれていた。

当時のキャンペーンページ

 記事によると、当初はほとんど反響がなかったが、4月上旬に複数のツイートをきっかけに話題となり、それをネットメディアが取り上げてさらに拡散したという。

 最初は反響を喜んでいた細山田部長だったが、上限の100冊まで購入する人の多さに焦り始める。「試算し直した結果、早めに打ち切るしかない状況になりました。夜中に数字を見ながら、辞表を書くしかないな、と」。結局、当初6月末まで続く予定だったキャンペーンは4月12日に前倒しで終了した。

 損失の大きさは「普通の会社が何社か吹き飛ぶ規模」(細山田部長)。しかし報告を受けた亀山会長は怒らなかった。損失は大きくても想定以上の新規ユーザーを獲得した。「その会員に対して何ができるか、どう活用するかを考えて努力してほしい」としている。

 今後もDMMブックスの舵を取り続けることになった細山田部長は、一度は失敗した「圧倒的なキャンペーン施策」も続ける考え。記事は「目指しているのは業界1位。ここから巻き返していくので、どうか楽しみにしててください」という前向きな言葉で締めくくられている。

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