もう一つの課題は、メーカー側での対応だ。
バッテリーを交換式にしないのはまあ、事情を考えると分かる。だが、それと「バッテリー交換作業を面倒な形のままにしておく」のはまた別の話だ。交換修理がどこでもできて、短時間で終わるなら、バッテリー交換式にこだわる必要は薄れる。
メーカーはバッテリー交換について、自社認定サービス以外での作業を好んでいない。前述のように、社外で作られた管理できないバッテリーなどが紛れ込んで事故が起きるのを防ぐためだ。
とはいうものの、修理に大きなニーズがあるのも事実。スマホ修理用パーツの流通はすでに、われわれが思う以上に大きな産業になっている。
スマホメーカーには、バッテリー交換が簡単になる内部設計と、修理業者の認定および純正パーツ供給を進めていただきたいと思う。
米Appleは2021年の3月に「Independent Repair Providerプログラム」という制度を、日本を含む全世界に拡大した。これはApple傘下でない独立した修理事業者に、純正パーツと修理のためのトレーニングを提供するもの。こうした動きは正しいし、認定事業者が増えて修理が楽になっていくことを期待したい。
一方で、前出のiFixitによるバッテリー交換マニュアルを見れば分かるのだが、iPhone 12のバッテリーは「簡単に交換することを前提としていない設計」に見える。バッテリーの固定方法や他のパーツとのレイアウトを多少見直し、交換作業を容易にすることは不可能ではないはず。少なくとも、iPhoneをバッテリー交換式にするよりも、設計難易度はずっと低そうだ。
メーカー側もそうした配慮を進めていくことが、バッテリーに対する不満を解消する、最も重要な要素ではないか、と筆者は考えている。
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