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ソニーの「Aマウント」はなくなるのか ミノルタから受け継いだ「αシリーズ」の歴史荻窪圭のデジカメレビュープラス(2/4 ページ)

» 2021年08月05日 07時15分 公開
[荻窪圭ITmedia]

そもそもAマウントってなに?

 今、ソニーといえばデジタル一眼市場の中心をミラーレス一眼にした、ミラーレス一眼の雄であり、ソニーのカメラといえば「α7」や「α6xxx」という印象を持つ人が多いと思う。

 35mmフルサイズセンサー機がαのヒトケタシリーズ(α1/α7/α9)で、APS-Cサイズセンサー機がαの4桁シリーズ(α6xxx)だ。

 どちらも同じ「Eマウント」を採用しており、1つのマウントで全部イケますよって意味で「1 Mount」を標榜している。

Eマウント1つで幅広く使える、ということを「1 Mount」と表現している。まあAマウントのレンズもマウントアダプターを使えばEマウントのカメラで使えるんだけれどもね

 でも、ソニーはEマウント以外のカメラもラインアップしてるのである。

 それがAマウント。

 Aマウントはソニーの「デジタル一眼レフ」用マウントであり、ソニーのデジタル一眼はAマウントから始まったのである。

 そのAマウントはもともとミノルタが開発したもの。Aマウントの「αシリーズ」はそもそもミノルタの一眼レフで、かつてはαマウントとも呼ばれていたのだ。

 古くからカメラを触ってる人には周知のことだけど、これを期に振り返ってみたい。

 ソニーはデジカメ黎明期から「Cyber-shot」というコンパクトデジカメを開発・発売していた。

 初のCyber-shotは1996年の「DSC-F1」。レンズ部分が回転するというめちゃ斬新なデザインで、めちゃカッコよかったんだけれども、これを持って撮影にでかけてもあっという間にバッテリーが切れちゃうという代物だった。まああの頃はみなそんな感じだったけど、コンパクトデジカメの面白さを世間に知らしめたカシオの「QV-10」が1995年なので、かなり早い。

 そして1999年、ニコンが「D1」を出し、一眼レフのデジタル化が本格的に始まる。

 将来は一眼レフもデジタル化され、コンパクトデジカメとデジタル一眼レフの2本になっていくことが明確になりつつあったのだが、ソニーは「一眼レフ」を持ってなかったのである。

Aマウントの誕生は1985年

 ここで話は1985年に遡る。

 カメラメーカーとしてコンパクトカメラから一眼レフまで手がけていたミノルタはそれまでの「Xシリーズ」に代わる新しいオートフォーカス一眼レフのシリーズを発売し、ヒットした。

 それが1985年に誕生した初代α「α-7000」だ。その後、プロ向けの上位機種「α-9000」や廉価な入門モデル「α-5000」などラインアップを広げていき、2000年には「α-7」を発売。

 ちなみに、ミノルタは「α-7」。ソニーは「α7」である。ハイフンの有無が違いが重要だ。音声にすれば同じなんだけど。ともあれこの頃からαの主力モデルは「あるふぁせぶん」だったのだ。

 やがてミノルタは2003年にカメラやフィルムを手がけていたコニカと経営統合してコニカミノルタとなり、2004年、コニカミノルタ初のデジタル一眼レフを発売する。「α-7 Digital」である。デジタル一眼レフ初の「ボディ内手ブレ補正」を搭載したのが特徴だ。

2004年の「フォトエキスポ」(cp+の前身)で参考出品された「α-7 Digital」。まだ製品名が入ってない
2005年のフォトエキスポ(cp+の前身)より。センサーシフト式手ブレ補正の解説

 ソニーの「α7」が2013年なので、その10年前の話である。

 ここから事態が大きく展開する。

 2005年にソニーとミノルタがαシリーズを共同開発すると発表し、翌2006年にはコニカミノルタがカメラ事業から撤退し、αシリーズの事業は丸ごとソニーに移管されたのだ。

 これでソニーは欲していたデジタル一眼レフをマウントごと手中に収めた。ソニーのαシリーズはミノルタのαを受けて始まったのである。

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