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GIGAスクール構想スタートで、学校はどう変わるのか ネット時代に頼れる教師の姿は(1/3 ページ)

» 2021年08月13日 12時23分 公開
[小寺信良ITmedia]

 ネット上でモラルを守れるか、ネットリテラシーがあるかが人生を左右する時代となった。そんな中、GIGAスクール構想によって小中学校からネットに触れるようになった世代に学校はどう向き合おうとしているのか。

 LINEみらい財団は、既にICT利活用が進んでいる学校の教員および管理職を対象にアンケート調査を行い、「一人一台端末環境におけるICT活用と 情報モラル教育の実践に関する調査報告書」を8月5日に公開した。

 調査対象は東京都教育委員会、熊本市教育委員会、戸田市教育委員会、上越教育大学附属小学校/中学校、福岡雙葉学園。調査期間は2月〜3月。今年度からGIGAスクール構想によってICT活用を始めた学校は含まれていないが、学校全般としての傾向をつかめる資料になっている。

 筆者はインターネットユーザー協会の代表理事として、全国約80カ所以上の小中高校・専門学校でネットリテラシーの講演を行ってきた経験がある。その時点では、まだ毎日の教育にICTを活用している学校はほとんどなく、限られた授業でタブレットを使っているだけで先進的とされていたくらいだ。従ってネットリテラシー教育の舞台は、主に家庭・プライベートでの利用についてだった。

 子どもたちに1人1台の学習端末が配布され、学校でネットにつながることで、ネットリテラシー教育はどうなっていくのか。今回はこの資料を使って、近未来の姿を予想してみたい。

この記事について

この記事は、毎週月曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」』から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年8月9日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額660円・税込)の申し込みはこちらから。さらにコンテンツを追加したnote版『小寺・西田のコラムビュッフェ』(月額980円・税込)もスタート。

ICT導入後の姿

 まず大前提として、ICTを利活用している学校で、子ども同士でのネットコミュニケーションを許容している割合を見てみよう。

photo 児童・生徒間のネットコミュニケーション

 学校の回答の平均値を見ると、子ども同士のコミュニケーションに関しては消極的で、小学校で「コミュニケーションさせている」が36%、中学校で28%という結果となった。一方、情報共有や協働学習はある程度行われていることから、それとは別の話のようだ。要するにこの調査結果は「自由な会話を許容しているか」ということだろう。

 コミュニケーションを許容している3割前後についても、使用しているツールは学習専用ツールで、一般的なコミュニケーションサービスはあまり利用されていない。

photo 児童・生徒のコミュニケーションツール

 一般的なツールと違い、学習専用ツールはその学校の子どもと先生しか使えないので、外部の指導者が入るような場合、指導には困難が生じるという問題がある。

 過去1年間のネットトラブルについて調べたデータもある。こちらは正直なところ、思ったよりも少ない印象だ。

photo ネットトラブルの発生有無
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