このマスクに使われているフィルターは、VFE(ウイルス飛沫ろ過効率)、PFE(微小粒子ろ過効率)、BFE(細菌ろ過効率)がともに高く、ウイルス飛沫も微小粒子も細菌も99%以上カットできる。これは、PM2.5のカットも可能な性能だ。この数値は、ミネベアミツミが米国のネルソン研究所に試験を依頼して得たものだという。
工場で働く人たちに使ってもらうものなので、着け心地の良さも重要だ。「着け心地のチェックをしていて、壊れにくい、外れにくい、ゴムが痛くない、この3つがとても大切だということに気が付きました。そのために試行錯誤を繰り返してフィット感や耳ひものゴム選びや付け方、肌に優しい素材感、呼吸のしやすさなどを研究。優しい着け心地にはこだわりました」という石川氏の言葉は、私が使い続けて感じていたことと一致する。
着脱を繰り返してもゴムが切れないし、サイドのフィット感がとても良くて、ほとんどすき間ができない。メガネを掛け、耳掛けタイプのイヤフォンを付けた上にマスクもしていても、耳が痛くないどころか、耳にマスクのゴムが掛かっていることを忘れて、イヤフォンを外そうとしたりするくらい、耳への負担が少ない。
ミネベアミツミの広報の女性も、当初はデザイン性などを考慮した他のマスクを使っていたが、着け心地の良さから普段使いは自社のマスクにしたと話していた。
「もともと自社向けに、従業員を感染させたくないという目的で作ったものですから、とにかく真面目に、よそ見せずに作ったのが良かったのだと思います。会社から配るものですから、プライドとしても感染させたくなかったのです」と石川氏。ただし、その分、性能を上げることに貢献しない部分でコストが上がるようなことはしない、ということで、ファッション性などは考慮しなかったという。色は白が最もコストがかからなかったのだそうだ。
形状も、現在、立体的な造形のものや、口の前の空間を広く取れるタイプなど、さまざまなものが登場しているが、性能面を追求した上で、最も無駄なコストがかからない形状として、比較的スタンダードなデザインに落ち着いたのだという。
この形状が、最も「壊れにくく、外れにくく、ゴムが痛くない」マスクを作るのにも向いているという結論だった。オーソドックスな形状ではあるけれど、それだけ信頼性が高いということでもある。マスクは新型コロナ登場以前から作られているわけで、積み重ねの上に、そのデザインがあるのだ。
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