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iPhoneにタイヤをつけたような「Tesla Model 3」を買ってしまった “人生最後のクルマ”になぜ選んだか【新連載】走るガジェット「Tesla」に乗ってます(3/4 ページ)

» 2021年09月08日 08時30分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]

アップデートで自動運転に対応?

 次に、魅了されたのは、随所のデジタル化による先進性です。運転席中央に設置されたiPadのような画面からほとんどの設定や操作を行い、フィジカルなボタンやスイッチは最小限にとどめられています。1980年代後半からのApple製品ユーザーである筆者だけに、シンプルであることを是とするApple製品と共通のニオイを感じ取ったのかもしれません。

photo ほとんどの設定や操作は、中央の15インチタブレットで行う。最近続々と登場する他メーカーのEVもタッチパネル操作が主流なので、2012年からこれを採用するTeslaの先進性がうかがえる

 Teslaショップのスタッフによる説明にも驚かされました。システムアップデートが定期的に無線で行われるというではありませんか。ハードウェアが対応していればの話でしょうが、購入後も機能が追加されるそうです。

 将来は、さらに高度な運転支援機能にも対応するといいます。歳を重ねるにつれ衰える身体機能を、システム側でカバーしてくれそうなのはありがたいと思いました。

 Apple Watchの心電図機能を連想しました。Apple Watch Series 4は、発売当初、日本では医療機器としての公的な認証が得られていなかったために、ハードウェアは対応していましたが、機能は封じられていました。2020年に認証が得られたことで、2021年1月のwatchOS 7のアップデートにより、日本でも使えるようになりました。

 Teslaの場合も、今後、公的なルールが変更されれば、さらに高度な運転支援や自動運転などの機能がシステムアップデートで追加されるのかもしれません。実際、現在のModel 3には、前後左右に8つのカメラが搭載されており、将来の自動運転にもハードウェア的には、対応しています。

photo 8つのカメラが周囲360度を常に監視し、車載コンピュータが自動運転のシミュレーションを行っている。人間とコンピュータ操作の相違点をクラウドに送信してAIが学習する

 Teslaが目指す自動運転は、他社の方式とは異なり、カメラで捉えた映像だけで演算処理して制御することを目指しています。人間が目で見て運転するようなイメージでしょうか。一方、Googleの親会社であるAlphabet傘下のWaymoなど他社は、自動運転機能を実現するために、LiDARスキャナー、レーダー、カメラ、GPS、高精細地図を利用しているそうなので、購入時にこれらのハードウェアが未搭載である場合にはソフトウェアアップデートだけでは対応できません。

photo Waymoは、自動運転機能を実現するために、LiDARスキャナー、レーダー、カメラ、GPS、高精細地図を利用している

 Teslaは、スマートフォンの専用アプリで、バッテリー残量を確認したり、アメニティー機能のオン/オフ操作を行うことも可能です。寒い冬には、出掛ける前に暖房やシートヒーターをオンにできます。運転好きで、デジタルガジェット好きの筆者がTeslaを気に入る理由の一端をご理解いただけたかと思います。

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