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» 2021年09月08日 08時00分 公開

誰でも空間に光の絵を描ける AR技術で空間に下絵をするアプリInnovative Tech

HoloLens 2を使ってARによる下絵をライトでなぞっていく。

[山下裕毅,ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 米パデュー大学の研究チームが開発した「LightPaintAR: Assist Light Painting Photography with Augmented Reality」は、AR技術を用いた下絵をなぞってライトで動かし、ライトペインティングをサポートするアプリケーションだ。

 ライトペインティングとは、カメラの露出時間を長くし動く光源を撮影する写真技術を指す。カメラのシャッターが開いている間に捉えた動く光源の軌跡は、光で空間に絵を描いたような仕上がりになる。

photo AR技術を駆使してバーチャルな絵を編集している様子(a、b、c)バーチャルな絵を上からなぞるように光を当て描いたライトペインティング(d)

 しかし、この方法はキャンバスに描くのとは異なり、視覚的なフィードバックが得られないため、光源を正確な軌道に沿って動かすのは難しい。そのため、ほとんどのライトペインティングの写真は、円、らせん、ランダムな曲線などの単純なパターンで描かれる。

 そこで研究チームは、ARと組み合わせたライトペインティングで複雑なデザインが描ける方法を提案する。一発本番で描くライトペインティングとは違い、事前に作成したARの下絵をライトでなぞって仕上げる。

 今回は、Microsoft HoloLens 2上で動作するARアプリを作成した。ユーザーは手のジェスチャーで描く、消すなどの操作ができる。光路を3次元的に移動、回転、サイズ変更で編集できる。従来のライトペインティングと違い、ゆっくりと複雑な編集ができるのが利点だ。

photo カメラと位置決めに使うQRコードのセットアップと、手のジェスチャーで操作している様子

 下書きが完成すると、光源でどのように描くかを動的にガイドしてくれる。ユーザーはそのガイドを参考に光源を動かせばライトペインティングが完了する。

 実験ではEF-M 11-22mmレンズを装着したCanon EOS M6ii(絞り:f11、シャッタースピード:120秒、ISO:125)で撮影し、ユーザーはLEDライトを手に持って光路を作成した。このシステムを使ったバージョンと使わないバージョンを試したところ、使ったバージョンの方がバランスが取れた仕上がりとなった。ユーザーの多くがライトペインティング初心者にもかかわらず、好きな絵を空中に描くことに成功した。

photo LightPaintARを使わずに「CHI2021」と描いた様子(1、3段目)LightPaintARを使って描いた様子(2、4段目)
photo LightPaintARを使って自由に描いたライトペインティング

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