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いま見られている動画とは? トレンドに見るYouTubeの今小寺信良のIT大作戦(2/4 ページ)

» 2021年09月13日 11時25分 公開
[小寺信良ITmedia]

「リアルタイム性」を生かす

 トレンドの1つ目として、「リアルタイム性」が挙げられている。YouTubeはもともと完成動画をアップロードして共有するサービスだったが、2009年頃から盛り上がったUstreamブームにつられ、YouTubeもライブ配信プラットフォームを立ち上げるに至る。

 Ustream全盛時代は一時サービスが低迷したが、ゲーム実況やVTuberの台頭もあり、リアルタイムコミュニケーションプラットフォームとして復活した。コロナ禍となって多くの公演が中止あるいは開催不可能となってからは、アーティストの発信の場として無観客ライブなどが多くの視聴者を集めている。

 こうした現代の「ライブ」は、Ustream時代の「ライブ」とは全然違う。昔は素人のたどたどしさ、段取りの悪さみたいなものが生っぽいという評価だったが、今そんなことをやってたら人は離れていく。ライブの中でも、視聴者のコメントを上手に扱う現場回しや、企画・構成力が求められる時代になった。

 機材のオペレーションも、大きく変わった。Ustreamやニコ生全盛の時代にも、公式チャンネルやスポンサーが付いているものはスイッチャーを使ったマルチカメラ中継はあったが、今は個人に近い配信者でもスイッチャーを使い、複数のソースを扱うようになっている。

 リポートで言及されているまふまふ氏のライブぐらいのクオリティーになると、テレビ中継クラスの機材が必要になる。

 音楽のマルチカメラ中継は、映像と音声の同期がシビアなため、アマチュアにはなかなか難しいところだ。その一方で、テレビの世界でも音楽の生中継といった仕事は年末ぐらいしかない。しかしYouTubeでライブ中継ビジネスが増えるのであれば、テレビ系技術会社も営業先を変えていく必要がある。

 もちろんこうしたプロレベルでなくとも、同じ時間を共有できるというライブの魅力は変わらない。同じ場所が共有できない以上、時間の共有が大きくクローズアップされる結果となったということだろう。同様の現象は東日本大震災直後でも発生しており、個人の発信者の増加につながった。

 ライブ配信はどうしても長時間になるし、加えて視聴者とのコミュニケーションも考えれば、PCで配信というのがスタンダードになってくる。そうなるとカメラは、PCに直接つないで収録するならUSB接続可能なもの、あるいはスイッチャーを経由してUSB接続ということになる。

 幸い昨今のカメラは、リモート会議需要も手伝って、USB接続できるものが増えており、今後この機能はスタンダードになってくるだろう。また複数ソースを扱えるスイッチャーも、入門クラスの製品がいくつかある。ただ、普段ソフトウェアで画像合成や動画編集ができるという人でも、ハードウェアスイッチャーには独特のセオリーがあり、それをつかむまで多少の時間はかかるだろう。

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