一方の要件定義とアプリ開発では、意思決定をいかに迅速化するかがカギになった。そこで磯貝CTOたちはカラーやグラウンドワークスの担当者といった決定権者が全員参加する「爆速」という名前のLINEグループを設立。実装したい仕様などについてのやりとりにLINEグループを活用することで、要件定義に掛かる時間を短縮したという。
「こういう仕様はできますか、という質問に対して『できます』『代わりにこのやり方はどうですか』という返答が数分ででき、(決定権者がそろっているため)『持ち帰ります』が起こりにくく、かなり役に立った。常に会話があったため、こちらから『こういう機能はどうですか』という提案もしやすかった」
例えば、障害物を避けながらアイテムを獲得し、ハイスコアを狙うミニゲーム「エントリープラグ飛ばし」はカラーなどが発案したものではなく、effective側が先に提案し、LINEグループで意見を聞きながら開発したものという。
「自分がエヴァ世代なこともあり、アプリ開発に携わっているのが楽しかったのかもしれない。何か力になりたいなと思いながらの開発だった」
こうした工夫が奏功し、EVA-EXTRAは当初の予定通り、7月1日に配信を開始。当日は10万以上のアクセスがあったが、サーバを落とさず耐えきったという。大量のアクセスに耐えられた理由として、磯貝CTOはインフラ設計時に心掛けたというコンセプトを挙げる。
「可能な限りCDNのキャッシュサーバでアクセスを処理できる仕組みにし、できるだけアプリサーバに一度もアクセスさせないことを心掛けて構成を考えた。セキュリティの都合で細かいことはいえないが、UIやコンテンツをなるべく動的にせず、したとしてもアプリ側で処理させるように頭をひねった」
当初決まっていた要件の一つ、7月6日に開催したイベントのライブ配信では数十万規模のアクセスが発生したが、こちらも耐えきったという。effectiveは現在でもEVA-EXTRAの保守を続けているが、すでにシリーズが完結したため、今後は関連情報を発信する場になるとしている。
“SIer版ヤシマ作戦”を成功させたeffective。EVA-EXTRAの開発を通してクラウドインフラ開発の経験を身に付けたことから、以降はIaaSを活用する案件も受け付けるようになった。すでに何件かの受注もあったという。磯貝CTOは今回の案件をこう振り返った。
「当初は『絶対ミスできない!』と思っていた案件。エヴァのヤシマ作戦は1発目を撃ち漏らしていたが、今回のプロジェクトはミスなく標的を撃ち落せたのではないか」
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