富士通は9月28日、船舶同士が海上で衝突するリスクを予測するAIを開発し、実証実験で有効性を確認したと発表した。船舶の現在地やスピード、向きなどのデータを学習したAIが、決められた航路に沿っているかを算出する仕組み。2022年3月までにサービス化する方針。
富士通によれば船舶事故はヒューマンエラーが原因で発生する場合が多く、回避には海上の安全運航を管理する「運用管制官」による、予測技術を基にした各船舶への情報提供が欠かせないという。
しかし、現在実用化されている予測技術はほとんどが直線の航行ルートを想定しており、上流と下流で向き合う船舶同士が航路の屈曲部(カーブ)に差し掛かるときは、不要なアラートが多発する。そのため航路によっては予測が外れる可能性があり、どの船舶にいつ情報を提供するかという判断が、運用管制官の経験や技量に依存しているのが現状という。
一方、富士通が今回開発したAIは曲線的な航行を予測できるため、不要なアラートを減らすことができ、屈曲部でも衝突のリスクを従来より正確に見積もることが可能としている。
実証実験は20年11月から21年9月にかけて海上保安庁とともに実施。従来の予測技術に加え、不要なアラートを9割減らせたという。今後はサービス化を目指す他、今回の技術を活用し、船舶のサイズや船の種類などの特徴、過去の航行実績といったデータをビッグデータとして解析することで、各船舶の運航状況を定量評価するサービスも23年9月までに提供する方針。
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