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ベビーシッターが赤ちゃんを激しく揺さぶる動画に物議、派遣元のキッズラインが声明 「シッターは7月で退会済み」

» 2021年10月12日 19時18分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 ベビーシッターのマッチングサービスを提供するキッズライン(東京都港区)は10月10日、同社が紹介したベビーシッターによる問題行為が発覚したと発表した。9日ごろ、ベビーシッターが赤ちゃんを激しく揺さぶる動画がTwitter上に投稿され、その動画に映るのがキッズラインに登録していたシッターだったという。

発表内容の一部

 問題になった動画は、家の中に置かれたカメラが撮影した30秒程度のもので、2021年7月10日の日付が入っており、シッターがベビーシートに寝転んでいる赤ちゃんを激しく揺さぶる様子が収められている。ツイートした投稿者は、すでにアカウントとツイートを消しているが、他のユーザーが動画を転載しており、SNS上で動画が拡散している。

 動画を見たTwitterユーザーからは「赤ちゃんの頭が揺れすぎて怖い」や「こういう人を出向させてるの?」「目を背けたくなるぐらいひどい」など、批判が集まっていた。

 この件について同社に問い合わせたところ、「(動画中の人物は)当社に在籍していたシッターであると認識している。安全確保の観点からシッターは7月12日時点で退会させており、自治体に廃止届を提出したことも確認しているため、当社以外でもシッティングは止められている」と説明した。

 このタイミングで情報を公開した理由について同社は「事案の経過などを正確に把握できるように動画全体を確認を(保護者に)申し出たが断られたため、事実全体の確認ができていない。シッターからのヒアリングも行ったが、確認できた事実が限られており、7月時点での公表は難しいと判断し、公的機関への相談を含めて利用者の判断に委ねることにした」とコメント。

 続けて「最近になり、当社に提供されたと思われる動画が公開されたため、利用者からの問い合わせを複数受けた。対応を説明するために開示できる範囲で発表した」と公表の経緯を明かし、「内容的に十分ではないと指摘も受けているが、当社の調査は当事者の任意の協力によるものであるため、確認できる内容が限られている」と説明した。

 発表文には対策などに言及がなかったが、同社によると問題行為防止のため、登録時の面談やテスト、シッティング開始前のモニタリング調査、シッダー実施状況に関する保育記録などの確認、アプリ上でのやりとりを確認するなどの対応を実施していると語る。

 「20年11月からは安全サポート研修を始めており、これまでに34回開催し、述べ634人に受講してもらった。11月からは新たな研修も開始し、当社が指定した講座を2年連続して未受講の場合には退会させる措置を講じていく予定」(同社)という。

 キッズラインは過去にも、同社が紹介したベビーシッターが2人、わいせつ容疑で逮捕された事件や、ベビーシッターが窃盗を働いた事件を起こしていた他、同サービスに登録していた201人のベビーシッターの届け出を自治体に提出せず、国からの補助金を返還するなどのトラブルが発生していた。

【修正履歴:2021年10月13日 午前11時30分 キッズラインは派遣型サービスではなく、マッチング型サービスであるため、一部表現を修正しました。】

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