ITmedia NEWS > 科学・テクノロジー >
ニュース
» 2021年10月22日 08時00分 公開

上腕を握ってスマートウォッチにこっそり入力 立命館大が開発Innovative Tech

ねじ式の主人公のようなポーズだが、血液の流れを変化させてスマートウォッチへの入力を行う。

[山下裕毅,ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 立命館大学 村尾研究室とJSTさきがけの研究チームが開発した「上腕を圧迫することによる脈波制御を用いたウェアラブルデバイス入力インタフェースの設計と評価」は、スマートウォッチのセンサーで血流変化を捉え、簡易なコマンドを入力するユーザーインタフェースだ。上腕をもう片方の手で握ることでスマートウォッチにコマンドを送れる。

photo 上腕をもう片方の手で圧迫してスマートウォッチへの入力を行う

 入力操作は脈波計測、ピーク検出、ピーク間の時間間隔計算、コマンド送信の4つの処理で構成する。血液の脈動を波形として捉える脈波は、平常時には一定間隔でピークが発生するが、スマートウォッチを装着している方の上腕を他方の手で握って圧迫すると、脈波は弱くなり、ピークが消失する。連続する2つのピークの時間差を求め、その時間によってコマンドを生成する。

photo 手で上腕を圧迫した時の脈拍の変化

 検出した圧迫状態の時間の長さの組合せによって、4種類の入力方式が可能だ。

  1. 複数の長短の圧迫時間をコマンドとして入力する
  2. 入力したい選択肢が含まれているグループを1回の長短の圧迫時間で選択して最終的に1つになるまで絞る
  3. 1回圧迫するとカーソルが1つ動いて一定時間圧迫しないと決定する
  4. 圧迫中は自動でカーソルが動いて圧迫を止めるとカーソルが止まり決定する

 脈波センサーを装着した4人の被験者に対し、各入力方式によって複数の選択肢から1つを決定する実験を実施し、精度および入力に要した時間を評価した。

 その結果、(1)(2)(3)の短い圧迫を複数回行う方式より、(4)の長い圧迫を一度行う方式が入力に要する時間が短く正確で、ユーザーへの負担が軽いことが分かった。数秒間軽く握る程度でよいため圧迫による痛みはなく、身体的負担が極めて小さい。追加のデバイスを必要としないため、市販のスマートウォッチにアプリをインストールするだけで実装できる。

 音や振動などは発生せず、腕を組む延長線上の動作で入力できるため、混雑したバスや電車などの公共機関、会議中など音を発生させるのが困難な状況でも周囲に迷惑を掛けない。周囲の騒音が大きい状況でも影響を受けず、周囲の人間に気付かれずに文字入力や項目選択などの操作が行える。

 動画はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.