細かい部分にもPFUのこだわりが見える。その最たるものが「筐体へのロゴ印字がない」ことだ。「HHKB Professional HYBRID」モデルでは、それ以前の「Professional 2」までは存在した「HHKB」ロゴを筐体上部へと移動しスッキリとした印象となっていたが、雪モデルではさらに「ロゴを無くす」という選択をした。
墨モデルでは濃い灰色の筐体に黒色の刻印のため、そのままでも目立たなかったが、白色ではコントラストが高く目立ってしまうことになるため、いっそのことなくしてしまったのだろう。ある意味「HHKBがHHKBたるにはロゴがなくともこの形状が唯一無二である」というPFUの自信、また25周年に渡って積み重ねてきた実績の厚さを感じさせる。
雪モデルでは、これまでのようなキートップに刻印のない「無刻印モデル」の販売がない。その代わり、別売のキートップオプションとして、雪モデルの無刻印キートップセットが販売される(ちなみに日本語配列の無刻印キートップは今回が初)。
筐体から製品名までもをなくした本製品にこの無刻印キートップを取り付けると、ほぼ視覚的ノイズの無いHHKBが完成する。残るは強いて言うなら右上にあるインジケーターランプの窓ぐらいである。ここまで来ると、もはやHHKBを示すのはその特徴的な配列のみである。
無刻印キートップのため、当たり前だがキーボードのキーは全て頭に入っているタッチタイピングができる状態でないと扱えない。往年の無刻印ユーザーであるなら一度はこの「究極のノイズレス」状態を体感してほしい。
唯一残念なのは、無刻印キートップがオプション販売であること、またキートップ自体の販売が英語配列、日本語配列それぞれで300台の数量限定であることだ(ある意味本体の数とのこの差が無刻印ユーザーの比率であると思われるが)。
プログラミング教育やテレワークといった需要で盛り上がっている側面もあるが、スマホやタブレットの普及によってキーボードに触れる機会が減っている側面もある。
将来的にどんな入力インタフェースが主流になるかは分からないが、指から滑らかに文字をアウトプットできるキーボードがなくなることはないと考えているし、一キーボードファンとしてそうあってほしいと願っている。HHKBも、ユーザーに愛され続けてきたアイデンティティーを失わず、その一方で最新の流行も取り入れながら続いていってほしい。
キーボード自体は非常にコモディティ化した商品でありながら、HHKBは四半世紀もの間その存在感を発揮し続けてきた。最新モデルと雪モデルの変更点は色のみではあるものの、これまでのHHKBの歴史を継承し、積み上げてきた実績と自信を感じられるモデルに仕上がっているといえる。
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